セッション情報 一般演題(初期研修医)

タイトル 26:

潰瘍性大腸炎の経過中に発見された高齢者2型自己免疫性膵炎の一例

演者 徳増 明文(愛媛大学大学院 消化器・内分泌・代謝内科学)
共同演者 黒田 太良(愛媛大学大学院 消化器・内分泌・代謝内科学), 小泉 光仁(愛媛大学大学院 消化器・内分泌・代謝内科学), 竹治 智(愛媛大学大学院 消化器・内分泌・代謝内科学), 大野 芳敬(愛媛大学大学院 消化器・内分泌・代謝内科学), 熊木 天児(愛媛大学大学院 消化器・内分泌・代謝内科学), 池田 宜央(愛媛大学大学院 消化器・内分泌・代謝内科学), 日浅 陽一(愛媛大学大学院 消化器・内分泌・代謝内科学)
抄録 症例は70歳,男性.潰瘍性大腸炎で近医に通院中であった.経過中,排便回数増加,血便増悪がみられたため,入院のうえ精査加療を行った.大腸内視鏡所見上,潰瘍性大腸炎の悪化が考えられ,5-ASA製剤投与を開始した.経過中血液検査で膵酵素の上昇あり,造影CT,MRCPで膵腫大,膵管の狭細化がみられたため,精査加療目的で当院を紹介受診した.腹部症状を含め自覚症状はなかったが,グルカゴン負荷試験,PFD試験では膵内外分泌機能が低下していた.PET-CTでは膵体尾部を中心にびまん性に腫大しており,全体にFDGの集積亢進がみられた.胆管病変や後腹膜病変,唾液腺などに病変は指摘できなかった.血清IgG,IgG4(49.5mg/dl),γ-グロブリンはいずれも基準値内であった.また,抗核抗体は陰性であった.鑑別すべき疾患として腫瘤形成性膵炎や2型自己免疫性膵炎,膵癌などを挙げ,EUS-FNAを施行.組織では腺房への一部好中球を含む炎症細胞浸潤がみられたが,悪性所見はなく,IgG4染色は陰性であった.臨床的な炎症性腸疾患の存在,膵組織所見より2型自己免疫性膵炎の可能性を考え,診断的ステロイド投与(プレドニゾロン 0.6mg/kg)を行った.速やかに膵酵素は低下,2週間後に施行したCTでも膵腫大は著明に改善しており,ステロイド反応性も含めて2型自己免疫性膵炎と診断した.本邦での2型自己免疫性膵炎の報告は少なく,そのうちのほとんどが若年発症である.本症例のように高齢で発症するものは極めて稀であり,文献的考察を加えて報告する.
索引用語 2型自己免疫性膵炎, 高齢者