セッション情報 一般演題

タイトル 29:

術後早期に発症した膵管内乳頭粘液性癌による播種性骨髄癌腫症の1例

演者 木岐 淳(高知大学 医学部 消化器内科)
共同演者 耕崎 拓大(高知大学 医学部 消化器内科), 麻植 啓輔(高知大学 医学部 消化器内科), 石川 洋一(高知大学 医学部 消化器内科), 西原 利治(高知大学 医学部 消化器内科), 池添 隆之(高知大学 医学部 血液内科), 砥谷 和人(高知大学 医学部 血液内科), 岡林 雄大(高知医療センター 外科), 志摩 泰生(高知医療センター 外科), 岩田 純(高知医療センター 病理), 田中 肇(土佐市民病院 内科), 永田 友梨(幡多けんみん病院 内科)
抄録 【症例】60歳台、男性。【主訴】発熱、意識障害。【現病歴】2006年よりアルコール性慢性膵炎にて近医で加療されていた。2012年9月に発熱、腹痛を認め近医を受診し慢性膵炎の急性憎悪と診断され入院加療された。その後膵病変の悪化を認め11月に紹介となる。【第1回目入院後経過】CTでは膵頭部に径5cmの嚢胞性病変と胆管拡張を認めた。ERCPでは粘液にて著明に開大した膵管口を認め、主膵管は狭窄を伴わず著明に拡張しており主膵管型の膵管内乳頭粘液性腫瘍に矛盾しない像であった。また下部胆管の狭窄も認め、EBDを施行した。PET-CTでは病変部にFDGの集積を認めたが、その他遠隔転移を疑う病変は認めなかった。12月に膵頭十二指腸切除を施行した。病理は膵管内乳頭粘液性癌、pT3N1M0、stage IIIであった。2013年1月よりgemcitabineによる術後補助化学療法を開始した。2月からは近医にて化学療法を継続されていた。4月に健忘、意識障害、発熱を認め慢性硬膜下血腫と診断され近医に入院したが、血小板の1-2万/μLと著明に低下しており当科入院となる。【第2回目入院後経過】JCS3点の意識障害、貧血、全身に紫斑を認めた。頭部CTの慢性硬膜下血腫に変化なく、PET-CTでは明らかな再発は認めなかった。骨髄穿刺を施行するとPAS陽性の粘液を有する上皮系腫瘍細胞を認め、骨髄癌腫症と診断した。5月に原症の悪化で死亡した。【まとめ】膵管内乳頭粘液性癌による播種性骨髄癌症を経験した。骨髄癌腫症はびまん性に骨髄に転移を来たし腫瘤形成に乏しい稀な病態で、胃癌、乳癌、前立腺癌などで報告されている。膵癌による骨髄癌腫症はきわめてまれで本邦では2例目であり貴重な症例と思われ報告する。
索引用語 膵癌, 播種性骨髄癌腫症