セッション情報 シンポジウム2「消化器癌の早期発見」

タイトル S2-02:

潰瘍瘢痕併存早期胃癌のNBI拡大内視鏡の有用性についての検討

演者 松永 多恵(香川大学医学部附属病院 消化器神経内科)
共同演者 森 宏仁(香川大学医学部附属病院 消化器神経内科), 小原 英樹(香川大学医学部附属病院 消化器神経内科), 藤原 新太郎(香川大学医学部附属病院 消化器神経内科), 西山 典子(香川大学医学部附属病院 消化器神経内科), 綾木 麻紀(香川大学医学部附属病院 消化器神経内科), 谷内田 達夫(香川大学医学部附属病院 消化器神経内科), 正木 勉(香川大学医学部附属病院 消化器神経内科)
抄録 (背景/目的)潰瘍瘢痕併存早期胃癌は既存の潰瘍瘢痕のため粘膜表面の色調変化や凹凸がわかりにくく, 癌部の存在範囲診断が困難であることが多い. そこで潰瘍瘢痕併存早期胃癌の存在及び範囲診断におけるNBI併用拡大内視鏡の有用性について検討した.(対象)期間は2011年1月~2013年6月とし, 当院で早期胃癌に対して胃内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行した174例のうち潰瘍瘢痕併存8例を対象とした.(方法)対象8例に対し通常光内視鏡(CE), NBI併用拡大内視鏡(NBI-ME)の各検査法による病変の描出率をmain outcomeとしretrospectiveに検討した. 当院における観察手順としては, 潰瘍瘢痕周囲をまずCEで観察後, NBI-ME弱拡大から強拡大にて潰瘍瘢痕全体をくまなく観察し, 病変の存在及び範囲診断を行っている. 癌部の存在及び範囲診断には八尾らの提唱するdemarcation lineおよびmicrosurface(MS)/microvascular(MV)patternに基づくVS classificationを用いた. さらにMS patternの詳細な観察が必要な症例にはNBI-MEに酢酸散布を併用した.ESD後, 術前NBI-MEによる側方範囲診断と病理学的組織診断との一致率についても追加検討を行った.(結果)早期胃癌の描出率はCE 2/8例(25%), NBI-ME 8/8例(100%)であった.また術前NBI-MEによる側方範囲診断と病理学的側方範囲診断との一致率は8/8(100%)であった. (結論)潰瘍瘢痕併存早期胃癌の診断において通常光内視鏡と比較し, NBI併用拡大内視鏡は癌部の拾い上げのみならず, 範囲診断に非常に有用であった.本検討のように通常光では捉えられない早期胃癌も存在するためNBI併用拡大内視鏡や酢酸散布を有効に活用すべきであると考えられた. 動画を用いて供覧する.
索引用語 潰瘍瘢痕, 早期胃癌