セッション情報 一般演題

タイトル 35:

糞石によるメッケル憩室穿孔の一例

演者 木田 裕子(さぬき市民病院 内科)
共同演者 杵川 文彦(さぬき市民病院 内科), 中尾 克之(さぬき市民病院 内科), 井上 利彦(さぬき市民病院 内科), 岡本 佳樹(さぬき市民病院 外科)
抄録 【はじめに】メッケル憩室は胎生期に中腸から分離した卵黄管の遺残による小腸憩室で、剖検例の1~2%、開腹手術の0.07~0.55%に発見されるとされている。多くは無症状に経過し、合併症の発現率は4.2%との報告がある。合併症の中で穿孔の頻度は本邦では6~7%といわれている。
【症例】40歳代男性。主訴は右下腹部痛。2か月前に憩室炎のため他院で入院加療歴あり。平成25年6月中旬、右下腹部痛のため当院救急外来を受診した。体温37.4度、腹部触診では腹部は平坦、軟。右下腹部を中心とした圧痛を認めた。同部位に軽度の筋性防御あり。憩室炎の再発を疑われ入院となった。翌朝になり腹痛の増悪あり。腹部触診にて右下腹部に限局する筋性防御を認めた。腹部単純CTにて上腹部にfree airを認め消化管穿孔が疑われた。右下腹部の腹壁直下に小腸と思われる腸管の壁の肥厚を認め、同部位の内腔には石灰化を伴っていた。画像上、虫垂の腫大ははっきりしなかった。以上より憩室炎もしくは虫垂炎による汎発性腹膜炎と診断し、緊急手術となった。右側の腹壁に、小腸と大網の癒着による腫瘤の形成を認めた。回腸末端から約60cm口側の回腸腸間膜対側に、2.5×3.0cm大の憩室を認めた。憩室の先端にさらに5mm大の憩室様のポケットが形成されており、内部に糞石の貯留とpinhole状の穿孔を認めた。腹水はなく腹腔内の汚染はほとんどみられなかった。メッケル憩室炎による穿孔と診断し憩室切除術を施行した。病理組織所見では、憩室の中央に潰瘍性病変を認め、同部位での全層性の壊死性変化およびその周囲の肉芽性変化を認めた。異所性組織は認められなかった。
【まとめ】糞石を伴ったメッケル憩室穿孔の一例を経験したので文献的考察を含め報告する。
索引用語 メッケル憩室, 穿孔