セッション情報 ビデオシンポジウム「消化器領域の診断と治療における新展開」

タイトル VS-14:

当院における腹腔鏡下膵体尾部切除の導入と結果

演者 泉 貞言(香川県立中央病院 消化器・一般外科)
共同演者 治田 賢(香川県立中央病院 消化器・一般外科), 市原 周治(香川県立中央病院 消化器・一般外科), 久保 孝文(香川県立中央病院 消化器・一般外科), 矢野 匡亮(香川県立中央病院 消化器・一般外科), 田中 則光(香川県立中央病院 消化器・一般外科), 岡 智(香川県立中央病院 消化器・一般外科), 大橋 龍一郎(香川県立中央病院 消化器・一般外科), 小野田 裕士(香川県立中央病院 消化器・一般外科), 鈴鹿 伊智雄(香川県立中央病院 消化器・一般外科), 塩田 邦彦(香川県立中央病院 消化器・一般外科)
抄録 【はじめに】 肝胆膵領域における治療の進歩としては、腹腔鏡手術の導入があげられる。2010年4月から肝部分切除・外側区域切除が、2012年4月から膵体尾部腫瘍切除における腹腔鏡下手術が保険収載されている。当院では肝切除に対して約40例、膵体尾部切除に対して8例の腹腔鏡下手術をこれまでに経験している。導入当初は腹腔鏡下に膵体尾部および脾臓の剥離脱転を行った後、小開腹直視下に膵切離を行い、手技が定型化したところで完全鏡視下手術に移行した。今回、完全鏡視下に膵体部IPMNに対し脾温存膵体尾部切除を施行した1例と膵尾部巨大SPTに対し膵尾部+脾臓切除を施行した1例について、画像診断および手術内容について供覧するとともに、これまでの成績に関しても簡単に紹介したい。【症例1】73歳、女性。CT・MRCPでは、膵体部3cmのIPMNと診断。良性の可能性が高いため脾温存膵体尾部切除を予定した。術後大きな問題なく17日目に退院。【症例2】42歳、女性。糖尿病増悪の精査中に膵尾部に10cmの腫瘤判明。CT・MRCPで石灰化した被膜を有しcystic and solid partからなる巨大乏血性腫瘍を膵尾部に認めSPTと診断。一部、脾との境界が不明瞭であったため膵尾部+脾切除を予定した。術後大きな問題なく8日目に退院。【成績】上記以外に6例に対し、腹腔鏡(補助)下膵体尾部切除を施行。疾患は、PNET2例、MCN1例、SCT1例、転移性肺腫瘍1例、副脾(術前PNET疑い)1例。平均手術時間:304±61分、平均出血量:383±303ml、合併症:膵液婁(gradeB)1例、平均在院期間12±5 日。【まとめ】3D-Angioなどによる脈管の確認を事前に行ったうえで種々の腹腔鏡デバイスにより安全に腹腔鏡下膵体尾部切除を行うことが可能である。術後の回復も良好で、膵液漏の発生率も12%程度で、低悪性度腫瘍に対する第一選択の術式となり得るものである。また、手技はやや煩雑になるが、巨大腫瘍の膵切除や脾温存膵切除などにも対応可能である。
索引用語 腹腔鏡下膵体尾部切除, 低悪性度腫瘍