セッション情報 一般演題

タイトル 47:

診断に難渋した大網原発EGIST

演者 尾立 磨琴(香川県済生会病院 消化器内科DELIMITER香川大学医学部 消化器・神経内科)
共同演者 森 宏仁(香川大学医学部 消化器・神経内科), 小原 英幹(香川大学医学部 消化器・神経内科), 西山 典子(香川大学医学部 消化器・神経内科), 藤原 新太郎(香川大学医学部 消化器・神経内科), 前田 瑛美子(香川大学医学部 消化器・神経内科), 大浦 杏子(香川大学医学部 消化器・神経内科), 前田 剛(香川大学医学部 消化器・神経内科), 河野 知樹(香川県済生会病院 消化器内科DELIMITER香川大学医学部 消化器・神経内科), 菅間 一乃(香川県済生会病院 消化器内科DELIMITER香川大学医学部 消化器・神経内科), 正木 勉(香川大学医学部 消化器・神経内科)
抄録 消化管外から発生するGISTは稀であり,extragastrointestinal stromal tumor(EGIST)と呼称される.EGISTは主に腸管膜や大網,後腹膜等の軟部組織から発生し,消化管と交通がない,GIST類似組織像を示す,CD117陽性,の3項目を満たすことが診断基準とされる.今回我々は,悪性褐色細胞腫との鑑別に難渋した大網原発EGISTを経験した.【症例】60才台前半,男性【主訴】血圧上昇,発汗過多,腹部膨満【現病歴】急に収縮期血圧180~200mmHgと血圧上昇し,頭痛および発汗過多と腹部膨満も伴い受診.αブロッカーを極少量投与時から,急激な血圧低下と気分不良があり精査入院.【経過】腹部造影CTで,腹腔内に低~高吸収域を示す大小多数の球状結節を認め,PET-CTでは腹腔内腸間膜に一致し, SUV値3.0~8.6とFDG値の幅広い集積を腹腔内結節に認めた.全消化管内視鏡検査では管腔内に異常を認めず,消化管以外の悪性腫瘍の転移の可能性も考え検索したが, 否定的であった.尿中NAおよびADの上昇を認めたが尿中VMAは陰性であった.疑診であるが副腎外悪性褐色細胞腫と考え131I-MIBGシンチを施行したが,取り込みは認めなかった.診断に苦慮し腹腔内腫瘤の高精細近接観察と,確実な組織ブロック生検による確定診断の為に,上部消化管内視鏡による検査が有用と判断した. 院内倫理委員会の承認を得,本人家人に十分なICを行い,同意を得た.全麻下にて臍部よりポートを作成し,同部よりEOG滅菌を施したFUJIFILM社製EG-590WR2を挿入し,腹腔内精査を施行した. 5cm以下の大小不同の充実性球状腫瘤が大網に連続して多発し, 一部は腹膜播種と壊死性変化を呈していた.組織学的にCD117とvimentinに強陽性であり,epithelioid type GISTと診断した。イマチニブ400mg/日を開始し腫瘍の縮小と腹水の消失,自覚症状の消失を得た.【考察】本症例は消化管壁と交通がなく,消化管外悪性腫瘍からの転移や臨床経過から,副腎外悪性褐色細胞腫との鑑別に難渋した.画像上,病巣は末梢に集中している,偽粘液腫とするには結節病変が目立つ,リンパ節転移とするには結節は大小不同に富み,CTの造影効果に乏しいこと等考えると,稀であるが消化管外GISTも念頭におくべきである.
索引用語 EGIST, CD117陽性