セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 02:

当センターにおける消化管pyogenic granulomaの臨床病理学的検討

演者 澤野 美由紀(松山赤十字病院 胃腸センター)
共同演者 八板 弘樹(松山赤十字病院 胃腸センター), 蔵原 晃一(松山赤十字病院 胃腸センター), 河内 修司(松山赤十字病院 胃腸センター), 川崎 啓祐(松山赤十字病院 胃腸センター), 森下 寿文(松山赤十字病院 胃腸センター), 長末 智寛(松山赤十字病院 胃腸センター), 阿部 洋文(松山赤十字病院 胃腸センター), 大城 由美(同 病理診断科), 渕上 忠彦(松山赤十字病院 胃腸センター)
抄録 【背景・目的】Pyogenic granuloma(PG)は、口腔以外の消化管に生じることはまれであり、消化管PGの多数例での報告は少ない。今回、当院における消化管PGの臨床病理学的特徴について検討した。【方法】1992年1月から2013年8月までに当センターで内視鏡検査を施行して、病理組織学的に確診した消化管PG7例の臨床像、内視鏡所見と病理組織学的所見を、その後の臨床経過を含め遡及的に検討した。【結果】7例の平均年齢は66.7歳(49~86歳)で男性3例、女性4例であった。自覚症状は食道に発生した1例に嚥下時違和感、小腸に発生した1例に貧血症状、大腸に発生した1例に便秘を認めたが、他4例は無症状であった。発生部位は咽頭1例、食道2例、食道胃接合部1例、回腸1例、上行結腸1例、直腸1例で、腫瘍径は平均8.3mm(3~14mm)であった。肉眼形態は亜有茎性が5例、有茎性が2例で、色調は7例全例が発赤調を呈し白苔の付着を認めた。治療は、内視鏡観察中に脱落した1例を除き、6例に内視鏡的粘膜切除術を施行した。病理組織学的には、7例全てに毛細血管の増生と拡張、浮腫状間質や炎症細胞浸潤を認め、白苔が付着した領域では、炎症性滲出物を認めた。確認できた範囲で再発を認めた症例はない。【結論】PGは皮膚および粘膜の結合織に由来する隆起性の肉芽腫性病変で、後天性の血管腫が二次的に炎症を伴ったものとされている。成因に関しては不明な点も多いが、皮膚や粘膜に多いため、外傷、慢性刺激、感染などの局所因子の関与が考えられている。本疾患は良性疾患であるが、組織学的に易出血性の血管腫であり、不用意な生検は出血の危険性がある。当センターで経験した消化管PGは、胃以外の全消化管に認め、腫瘍表面は全て白苔が付着した発赤調を呈し、肉眼形態は亜有茎から有茎性であった。これは過去の報告例と同様の形態で、注意深い内視鏡観察を行えば、ある程度、診断可能と考える。近年、特に、小腸出血の原因疾患として報告例が増加しており、消化管出血の原因として念頭に置くべき疾患と思われた。
索引用語 pyogenic granuloma, 消化管