セッション情報 一般演題(初期研修医)

タイトル 16:

リンパ球幼若化試験が診断に有用であった多形滲出性紅斑を合併したNSAIDsによる薬物性肝障害の1例

演者 有友 佳奈子(愛媛大学医学部附属病院総合臨床研修センター)
共同演者 多田 藤政(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 徳本 良雄(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 越智 裕紀(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 小泉 洋平(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 廣岡 昌史(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 阿部 雅則(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 日浅 陽一(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学)
抄録 症例は34歳,女性.以前より頭痛があり,イブプロフェンを内服していた.2012年1月下旬より心窩部痛が出現した為,鎮痛剤内服を中止.中止後5日目に発熱, 皮疹と褐色尿が出現したため,近医に入院.T.Bil 14.7 mg/dl, AST 3500 U/l, ALT 2933 U/l, PT 38.1%と著明な黄疸,トランスアミナーゼの上昇とPTの低下がみられた.入院後も症状と肝機能検査異常が持続していた為,内服中止後8日目に当院転院.転院時,体温は39.8℃,四肢,顔面に多発する円形の紅斑があり,眼球結膜に黄染がみられた.WBC 9500/μl, PLT 19.0×104/μl, T.Bil 15.3 mg/dl, AST 1492 U/l, ALT 1860 U/l, ALP 323 U/l,γ-GTP 80 U/l, CRP 2.1mg/dl, IgE 11900 IU/ml.HBs抗原,HCV抗体陰性.抗核抗体陰性.造影CTでは肝萎縮,腹水はみられなかった.皮疹は皮膚生検の結果,多形滲出性紅斑と診断.肝機能異常の原因としては, JDDWスコア5点と薬物性肝障害の可能性が高いと考え,補液で経過を観察していた。しかし,解熱,皮疹の改善がなく,トランスアミナーゼの再上昇と,PTのさらなる低下がみられたため,内服中止後10日目にステロイドパルス療法を開始.その後,発熱と皮疹が改善し,ビリルビン,トランスアミナーゼの低下とPTの上昇がみられた.内服中止後14日目(ステロイド開始4日目)に肝生検を施行.肝組織像では,中心静脈周囲に壊死,脱落と多彩な炎症細胞浸潤がみられ,急性肝炎の所見であった.リンパ球幼若化試験(DLST)では, イブプロフェンとその他の構造が似ているNSAIDsが陽性であり,NSAIDs全般にわたって使用禁止とした.現在頭痛に対してDLST陰性であったアセトアミノフェンの内服で経過は良好である.本症例では, DLSTが多剤に対して陽性を示し, 診断およびその後の経過をみるうえで有用であった.
索引用語 薬物性肝障害, 多型滲出性紅斑