セッション情報 |
シンポジウム1「消化器疾患と他臓器病変との関わり」
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タイトル |
S1-06:成人GH分泌不全症に合併する非アルコール性脂肪性肝疾患の特徴
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演者 |
多田 藤政(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学) |
共同演者 |
阿部 雅則(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 藤堂 裕彦(愛媛大学医学部地域生活習慣病・内分泌学), 三宅 映己(愛媛大学医学部地域生活習慣病・内分泌学), 山本 晋(愛媛大学医学部地域生活習慣病・内分泌学), 越智 裕紀(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 小泉 洋平(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 廣岡 昌史(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 徳本 良雄(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 松浦 文三(愛媛大学医学部地域生活習慣病・内分泌学), 日浅 陽一(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学) |
抄録 |
【目的】GH分泌不全症では,内臓脂肪蓄積,脂質異常症,糖尿病,脂肪肝などの代謝異常をきたす.今回,当院で経験したGH分泌不全症における非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の頻度およびその特徴について検討した.【方法】1998年から2013年までの15年間に当科で経験した成人GH分泌不全症10例を解析対象とした.患者背景では診断時年齢は22歳から61歳,男女比は3:7.小児期発症6例,成人発症4例.GH分泌不全の原因は,4例が特発性,3例が術後,1例が出産後, 1例が放射線照射後,1例がラトケ嚢胞による圧排であった.性腺機能系は7例が下垂体性機能低下症を合併.甲状腺系は3例が下垂体性機能低下症,4例が原発性機能低下症を合併し,特発性GH分泌不全症の4例が甲状腺自己抗体陽性であった.【成績】10例の平均BMIは22.5kg/m2であり,脂質異常症の合併が5例(50%),糖尿病の合併が1例(10%)にみられた。NAFLDの合併は6例(60%),うち非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が2例(33%)にみられた.NASHと診断された2症例はそれぞれ診断年齢が38歳,32歳,BMI 24.2 kg/m2,25.5 kg/m2であり, GH分泌不全の原因は特発性,放射線照射後であった.検査データはそれぞれ血小板数 25.0×104/mm3,20.8×104/mm3,AST 105 U/L,69 U/L,ALT 121 U/L,59 U/L,γ-GT 360 U/L,70 U/Lであり, 肝組織像は2症例ともBruntの分類でstage3,grade2と進行例であった.【結論】成人GH分泌不全症には 脂肪肝の合併がみられることが知られているが、NASHに進行している症例も存在する. NASH症例では若年にもかかわらず病期進行例が多く,注意を要すると考えられた.また適切なGH補充により体脂肪量,BMIが低下することが知られており,積極的なGH補充が必要であると考えられた. |
索引用語 |
GH分泌不全, NASH |