セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 11:

再吐血に伴い緊急膵頭十二指腸切除術を施行した十二指腸間質性腫瘍gastrointestinal stromal tumor(GIST)の一例

演者 三井 康裕(独立行政法人 国立病院機構 高知病院 消化器科)
共同演者 井上 修志(独立行政法人 国立病院機構 高知病院 消化器科), 影本 開三(独立行政法人 国立病院機構 高知病院 消化器科), 板垣 達三(独立行政法人 国立病院機構 高知病院 消化器科), 山崎 誠司(独立行政法人 国立病院機構 高知病院 外科), 田村 智(田村クリニック内科胃腸科)
抄録 【はじめに】GISTは紡錘形または類上皮様細胞を主体とする消化管間葉系腫瘍であり,胃と小腸に好発するとされている.今回,消化管出血を契機に十二指腸GISTを認め,緊急手術を施行した症例を経験したため文献的考察を加えて報告する.【症例】50歳台,女性【現病歴】受診2日前より黒色便の出現を認めた.その後,自宅にて経過観察を行っていたが,嘔気および黒色物嘔吐の出現を認めたため近医を受診した.上部消化管内視鏡検査(EGD)を施行し十二指腸潰瘍性病変を認めたため,精査加療目的に当科紹介となった.【既往歴】更年期障害,ヘリコバクターピロリ除菌歴なし【生活歴】喫煙なし,飲酒なし【内服】ロラゼパム【入院後経過】前医で施行されたEGDでは潰瘍面からの活動性出血は認められず,全身状態も安定していたため,絶食の上で輸液およびProton pump inhibitor(PPI)投与による保存的治療を開始した.第3病日にEGDを再検したところ,十二指腸下行脚に頂部に潰瘍を伴う隆起性病変を認めた.腹部造影CT検査では十二指腸下行脚に接するようにして4cm大の内部均一な造影効果を伴う占拠性病変を認めた.腹部MRI検査では同病変は筋層と等信号で連続性をもち,拡散強調画像では著明な高信号を認めた.以上より出血性十二指腸GISTと診断し,待機的に外科的根治手術予定となった.第13病日,多量吐血を生じたため緊急膵頭十二指腸切除術を施行した.切除病変は39×30mmの筋層内に存在する充実性腫瘍であり,紡錘形間葉系細胞が不規則に錯綜して増殖していた.核分裂像は8個/50HPF,免疫染色ではc-kit,CD34は陽性,S-100,ASMA,desmin,vimentinは陰性であり,GIST,moderate risk(NIH分類)と診断した.術後経過は良好であり,切除病変から得られた遺伝子変異(c-kit,PDGFRα)結果を鑑みて術後化学療法について検討を行う予定である.
索引用語 GIST, 十二指腸