セッション情報 | 一般演題(初期研修医) |
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タイトル | 37:腸回転異常に伴う成人期初発の十二指腸閉塞の1例 |
演者 | 山本 和一(松山赤十字病院 外科) |
共同演者 | 本村 貴志(松山赤十字病院 外科), 高橋 郁雄(松山赤十字病院 外科), 野口 伸一(松山赤十字病院 小児外科), 越智 友洋(松山赤十字病院 外科), 梶原 勇一郎(松山赤十字病院 外科), 間野 洋平(松山赤十字病院 外科), 中西 良太(松山赤十字病院 外科), 藤中 良彦(松山赤十字病院 外科), 西田 康二郎(松山赤十字病院 外科), 副島 雄二(松山赤十字病院 外科), 西崎 隆(松山赤十字病院 外科) |
抄録 | 【背景】腸回転異常は胎生期の先天性疾患であり、十二指腸閉塞や中腸軸捻転を契機に9割が乳児期に診断され、成人での発症は極めて稀である。また多くの場合十二指腸と回盲部がLadd靭帯と呼ばれる索状構造物によって癒着しており、これを切離する手術が標準治療となる。今回我々は、成人期に初めて診断された、Ladd靭帯を伴わない腸回転異常症に手術施行した1例を経験したので報告する。【症例】66歳女性。食後の嘔吐を主訴に来院した。上部消化管内視鏡にて異常なく、CTにて十二指腸の拡張と水平脚での急峻な狭小化を認めた。消化管造影検査にて小腸の右側偏位を認め、腸回転異常が疑われた。保存的加療にて改善無く、手術の方針となった。腹部正中切開で開腹、十二指腸下降脚が索状物によって癒着し、同部位での十二指腸閉塞を認めた。Treitz靭帯を認めず、水平脚をほとんど形成せずに小腸は全て右方に偏位していた。また上行結腸は固定されておらず、回盲部を左側に認めた。癒着を剥離し、十二指腸を直線化した状態で後腹膜に固定した。予防的に虫垂切除して手術を終了した。術翌日より経口摂取開始したが、嘔気嘔吐なく、術後7日目での消化管造影検査でも、十二指腸からの良好な造影剤の流出を認めた。特に問題なく術後10日で退院となった。【考案】極めて稀な腸回転異常の成人例を経験した。本症例ではTreitz靭帯の形成不全による癒着が原因で、腸蠕動によって索状物に十二指腸が陥入して初めて腸閉塞症状を発症したことが、発症の遅れにつながったと考えられる。腸回転異常の根治は手術以外になく、十二指腸閉塞症状を来した症例では本疾患を念頭に診断を進める事が、早期に患者のQOL改善につながると考えられる。 |
索引用語 | 腸回転異常, 成人 |