セッション情報 シンポジウム2「消化器癌の早期発見」

タイトル S2-04:

当センターにおける潰瘍性大腸炎に合併したcolitic cancer/dysplasiaの臨床病理学的特徴

演者 河内 修司(松山赤十字病院 胃腸センター)
共同演者 川崎 啓祐(松山赤十字病院 胃腸センター), 蔵原 晃一(松山赤十字病院 胃腸センター), 大城 由美(松山赤十字病院 病理), 高橋 郁雄(松山赤十字病院 外科), 八板 弘樹(松山赤十字病院 胃腸センター), 森下 寿文(松山赤十字病院 胃腸センター), 長末 智寛(松山赤十字病院 胃腸センター), 阿部 洋文(松山赤十字病院 胃腸センター), 澤野 美由紀(松山赤十字病院 胃腸センター), 渕上 忠彦(松山赤十字病院 胃腸センター)
抄録 【目的】当センターにおける潰瘍性大腸炎(以下UC)に合併したcolitic cancer(以下CC)/dysplasiaの臨床像、内視鏡所見および病理組織学的所見を検討し、より効率的なサーベイランス法を明らかにすること。【方法】1982年4月から2013年8月までに当センターで診療したUC656例中、CC/dysplasiaを合併した15例を対象とし、その臨床病理学的特徴を遡及的に検討した。【成績】CC/dysplasiaの累積発生率は10年で1.1%、20年で5.6%、30年で12.1%であった。男性10例、女性5例で、UC発症年齢は平均45.0歳(16.1-77.5歳)、罹病期間は平均15.9年(2.1-31.9年)であった。全大腸炎12例/左側大腸炎2例/右側大腸炎1例であり、再燃寛解型9例/慢性持続型6例であった。CC/dysplasia発見時の臨床的重症度は寛解期7例/軽症4例/中等症4例であり、治療は5-ASA製剤投与14例/ステロイド投与4例/チオプリン製剤投与1例であった。喫煙歴は既往例が1例、大腸癌の家族歴は1例、原発性硬化性胆管炎合併は1例であった。CC/dysplasiaは単発病変が10例、2病変が5例で合計20病変であった。病変部位は盲腸2病変/上行結腸2病変/横行結腸2病変/下行結腸1病変/S状結腸6病変/直腸7病変であった。CC/dysplasiaの肉眼型は、進行癌8病変で1型:1病変/2型:3病変/3型:1病変/4型:3病変であり、dysplasiaを含む早期癌12病変は全て扁平隆起型(Is:6病変/Is+IIa:1病変/Isp:1病変/IIa:4病変)であった。大腸切除もしくは内視鏡切除を実施したのは15例中12例(16病変)で、組織型は高分化腺癌11病変、中分化腺癌1病変、印環細胞癌を含む粘液癌2病変、混合型2病変であった。全割標本におけるdysplasiaの分布はCC周囲のみが11例、CC周囲と全大腸に散在した症例は1例であった。【結論】UCに合併したCC/dysplasia発見におけるサーベイランスの効率性を向上させるためには、長期罹病で病変範囲が広い難治例に対し、全大腸のなかでも特にS状結腸・直腸の重点的な観察と扁平隆起病変が疑われる場合は積極的に色素撒布を併用し生検を実施することが重要であると考えられる。
索引用語 潰瘍性大腸炎, colitic cancer/dysplasia