セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 38:

当院におけるS状結腸軸捻転症19症例の検討

演者 桑村 英里(JA香川厚生連 屋島総合病院 内科)
共同演者 松岡 裕士(JA香川厚生連 屋島総合病院 内科), 小林 伸也(JA香川厚生連 屋島総合病院 内科), 波間 大輔(JA香川厚生連 屋島総合病院 内科), 細見 直樹(JA香川厚生連 屋島総合病院 内科), 阿河 直子(JA香川厚生連 屋島総合病院 内科), 小林 聖幸(香川大学医学部附属病院 消化器・神経内科), 正木 勉(香川大学医学部附属病院 消化器・神経内科)
抄録 【緒言】S状結腸軸捻転症は高齢者や精神疾患患者に多くみられる疾患で、腸閉塞の原因の1つである。軽症から中等症のものは内視鏡的に整復される症例が多いが、診断および治療が遅れると腸管が壊死、穿孔などを来たし緊急手術が必要となる。今回当院におけるS状結腸軸捻転症例について検討をしたので報告する。【対象・方法】2004年3月から2013年5月までに当院でS状結腸軸捻転症と診断された19例を対象とした。それらの臨床的特徴、内視鏡所見、整復方法、治療成績等について検討した。【結果】平均年齢は71歳(14歳-92歳)、男女比は14:5であった。基礎疾患としては脳血管障害、パーキンソン病など活動性の低下した症例に生じやすい傾向がみられ、寝たきり症例が12例にみられた。19例全例に緊急内視鏡を施行し整復を試みた。15例(79%)で内視鏡による整復が可能であった。内視鏡整復後の再発は3例にみられたが、いずれも初回同様に内視鏡的な整復が可能であり手術は要しなかった。4例の整復不成功例中3例が緊急手術となった。1例は内視鏡所見で広範囲な粘膜壊死を認めたため、S状結腸を部分切除した後、人工肛門造設を行った。1例は捻転部が狭小化しておりscopeの通過が困難と判断し、開腹下で捻転解除を行った。1例は捻転部をscopeは通過するものの直線化が困難であり、再度捻転を来したため下部イレウス管挿入後手術となった。待機手術症例は3例で、2例は再発を繰り返した症例、残り1例は捻転の再発は認めないが弛緩し巨大結腸となった症例であった。死亡例は2例で、いずれも緊急手術を行った症例であった。【結論】S状結腸軸捻転症に対する内視鏡的整復は低い侵襲性と速やかな症状の改善性を兼ね備えた治療法といえる。また、修復困難症例においても、内視鏡による壊死範囲や捻転度の把握が手術適応の重要な指標となる。本症において内視鏡検査は極めて重要な位置付けにあると考えられた。
索引用語 S状結腸軸捻転症, 内視鏡