セッション情報 ビデオシンポジウム「消化器領域の診断と治療における新展開」

タイトル VS-05:

術中超音波 elastorgaphyによる消化器癌リンパ節転移診断能の向上について

演者 石川 正志(学校共済組合 四国中央病院 外科)
共同演者 淺野間 理仁(学校共済組合 四国中央病院 外科), 松山 和男(学校共済組合 四国中央病院 外科), 大塩 猛人(学校共済組合 四国中央病院 外科)
抄録 消化器癌に対する鏡視下手術の欠点としてリンパ節(LN)転移の術中診断が困難なことが挙げられる。最近、組織弾性評価法の1つとして超音波エラストグラフィが、乳腺・甲状腺領域の腫瘤の良悪性の判定に臨床応用されている。我々は超音波elastographyが消化器疾患のLN節転移の診断に有効かどうかについて検討した。(対象と方法)2012年7月~2013年5月までに当院で消化器癌の開腹手術をうけた32例(胃癌13例、大腸癌19例)を対象とした。術中超音波エラストグラフィは日立アロカの超音波機器(AVIUS)を用い、脂肪層とリンパ節のひずみをそれぞれB、AとしてB/A比を算出しstrain ratioで客観的に評価した。また、術前CT所見、術中の外科医による視触診診断についても同様に病理診断と比較した。(結果)LN転移は胃癌で6例、結腸癌で10例見られた。胃癌ではLN転移の正診率はCT(85%)、術中診断(92%)で、結腸癌ではCT(68%)、術中診断(79%)であった。Elastographyの比は胃癌症例では転移+で8.2±5.2、転移-で1.7±1.1であり、大腸癌ではそれぞれ6.0±4.9、1.7±0.5で有意差がみられた。LNの大きさは胃癌では転移+で1.5±0.6、転移-で0.8±0.2であり、大腸癌ではそれぞれ1.2±0.4、0.8±0.2で有意差がなかった。elastographyのcut off値を2.0とするとLN転移の正診率は胃癌で92%、結腸癌で89%と他の診断法に比べ最も良好となった。(結語)術中のelastorgaphyによりLN転移の診断能がさらに向上する可能性があり、リンパ節郭清の程度の決定に役立つと思われる。術中超音波 elastorgaphyに要する時間はわずか数分であり、5cm程度の小切開創からも可能である。この手技について動画で紹介したい。
索引用語 elastography, リンパ節転移