セッション情報 一般演題

タイトル 33:

切除不能胆嚢癌に対し化学療法後、根治的切除を施行した1例

演者 山上 隆司(松山赤十字病院 肝臓・胆のう・膵臓内科)
共同演者 今井 祐輔(松山赤十字病院 肝臓・胆のう・膵臓内科), 忽那 茂(松山赤十字病院 肝臓・胆のう・膵臓内科), 佐々木 由子(松山赤十字病院 肝臓・胆のう・膵臓内科), 田中 孝明(松山赤十字病院 肝臓・胆のう・膵臓内科), 武智 俊治(松山赤十字病院 肝臓・胆のう・膵臓内科), 横田 智行(松山赤十字病院 肝臓・胆のう・膵臓内科), 上甲 康二(松山赤十字病院 肝臓・胆のう・膵臓内科), 間野 洋平(松山赤十字病院 外科), 副島 雄二(松山赤十字病院 外科), 西崎 隆(松山赤十字病院 外科)
抄録 【緒言】胆嚢癌は無症状に進行するために予後がきわめて不良で種々の治療を行ってもその5年生存率は3%以下と治療効果が低いのが現状である.その一方で切除不能進行胆嚢癌に対して化学療法を施行しdown stagingが得られ切除可能となった症例報告が散見されるようにもなってきた.今回,我々は術前PET-CTなどでstageIVbと診断された進行胆嚢癌に対し化学療法を行い,著しく奏功し根治切除しえた1例を経験したので報告する.【症例】患者は58歳,女性.右側腹部痛を主訴に近医を受診しCTにて胆嚢癌,転移性肝癌の疑いを指摘され精査,治療目的に当院を紹介受診した.肝病変を生検しmoderately differentiated adenocacinomaと病理診断された.PET-CTにて胆嚢,肝,門脈背側リンパ節,傍大動脈リンパ節,両側総腸骨動脈リンパ節,左外腸骨動脈リンパ節にFDGが集積し,胆嚢癌cT4,N3,M1 cStageIVbと診断した.治療として化学療法を行うことになった.【臨床経過】24年8月25日からゲムシタビン+シスプラチンによる化学療法を開始した.同療法はGrade3の末梢神経感覚ニューロパチーのために12コース途中で中断し,引き続きゲムシタビン単剤療法を6コース行った.上記の化学療法により原発である胆嚢腫瘍は増大傾向を示したが肝転移巣,リンパ節転移巣は縮小し,ついには不明瞭化した.24年10月9日に根治術として胆嚢摘出術,肝拡大左葉切除術を施行した.肝に悪性病変なく,サンプリングとして切除したNo.8とNo.16のリンパ節にもcarcinomaの残存はなかった.また胆嚢には内腔に突出する腫瘍があり,中分化型の腺癌と神経内分泌腫瘍(NET)が混在し,後者が30%を越えていたためMANECと最終病理診断された.術後に胆汁漏による膿瘍を形成したためドレナージを行った.その後は順調に経過し11月20日に退院した.術後11か月経過したが無再発生存中である.【結語】切除不能と診断された進行胆嚢癌でも化学療法によってdown stagingが得られ根治的切除がなされた症例報告もあり,病勢がコントロールできている症例に対しては切除による根治の選択枝を考慮すべきである.
索引用語 胆嚢癌, 化学療法