セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 19:

確定診断に苦慮した肝細胞癌の1例

演者 山名 浩喜(香川労災病院)
共同演者 吉武 晃(香川労災病院), 藤田  直樹(香川労災病院), 千代  大翔(香川労災病院), 冨田  悠介(香川労災病院), 神野  有子(香川労災病院), 前田  純(香川労災病院), 西  理子(香川労災病院), 井上  秀幸(香川労災病院), 國土  泰孝(香川労災病院), 影山  淳一(香川労災病院), 溝渕  光一(香川労災病院)
抄録 【症例】63歳、男性。【主訴】発熱、嘔気、心窩部痛。【既往歴】高血圧。【現病歴】受診5日前より発熱、嘔気、心窩部痛を認めた。3日後に近医を受診し、PPI処方され心窩部痛は一旦軽快したものの、症状が再燃したため、当院を受診した。血液検査では肝胆道系酵素の上昇と炎症反応を認めた。造影CT、造影エコー検査では肝内に嚢胞性腫瘤を認めた。臨床症状から肝膿瘍を疑い、入院当日にPTADを試みた。しかし、排液は膿性ではなく血性の漿液性排液であったため、肝膿瘍ではなく、腫瘍性病変が疑われた。造影MRIでは、T1強調像で内部に不整輪状の高信号域を伴う低信号を示し、T2強調像では、T1強調像で高信号の輪状部分が低信号、その他は高信号を示した。T2 star像では、内部が不均一な信号で輪状に低信号域を認め、肝膿瘍とは異なる信号であった。当院外科にて、肝亜区域切除術が施行された。病理組織標本では、腫瘍の中心部は広範囲に出血・壊死が認められ、辺縁部に大型で異型を伴う細胞が索状~充実性に増殖しており、やや分化度の低いHepatocellular cartinomaの組織像であった。【考察】画像上肝細胞癌としては典型的でなかった原因は、出血や、壊死組織により腫瘍内圧が上昇し、動脈血が流入するタイミングが遅れた事が考えられる。また、典型的ではない症状を認めた原因として、腫瘍内圧の上昇による被膜伸展による腹痛、また、壊死組織の感染により発熱、敗血症等を生じたものと考えられる。【結語】発症時、発熱、腹痛を伴い、画像所見が典型的でなかったため肝膿瘍との鑑別に苦慮した肝細胞癌の1例を経験した。
索引用語 肝細胞癌, 肝膿瘍