セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 49:

Trousseau症候群を併発した消化器癌の2症例

演者 森岡 弓子(高松赤十字病院 消化器内科)
共同演者 柴峠 光成(高松赤十字病院 消化器内科), 玉置 敬之(高松赤十字病院 消化器内科), 松中 寿浩(高松赤十字病院 消化器内科), 小川 力(高松赤十字病院 消化器内科), 石川 哲郎(高松赤十字病院 消化器内科), 出田 雅子(高松赤十字病院 消化器内科), 宮本 由貴子(高松赤十字病院 消化器内科), 荒澤 壮一(高松赤十字病院 消化器内科), 野田 晃世(高松赤十字病院 消化器内科)
抄録 Trousseau症候群は悪性腫瘍に伴う血液凝固亢進により脳血管障害を生じる病態である。成因の多くはDICに併発した非細菌性血栓性心内膜炎による心原性脳塞栓症と考えられ、原因となる悪性腫瘍は固形癌が多く、その中では婦人科的腫瘍が最も多いといわれている。今回、我々はTrousseau症候群を併発した消化器癌の2症例を経験したので報告する。症例1は80代、女性。多発性肝転移を伴う膵体部癌Stage4bで外来化学療法中であった。発語困難を主訴に受診し, 頭部MRIにて多発性脳梗塞を認め、血液検査で凝固能亢進を認めた。ヘパリン持続静注による抗凝固療法を開始後、ワルファリン内服に変更し、19日目に脳梗塞を再発したものの、その後は再発なく経過している。特徴的な頭部MRIと凝固能亢進より、Trousseau症候群による脳梗塞と考えられた。症例2は70代、女性。多発性肝転移を伴う盲腸癌Stage4で化学療法導入のため入院中であったが、一過性の左片麻痺と着衣失行を認めた。頭部MRIにて多発性脳梗塞を認め、血液検査で凝固能亢進を認めた。悪性腫瘍に伴うTrousseau症候群と診断し、抗凝固療法としてヘパリン皮下注を開始した。いずれの症例もヘパリンによる抗凝固療法からワルファリン内服に変更し、抗凝固療法を併用しながら原疾患に対する外来化学療法を行っている。Trousseau症候群は併発すると、非常に予後不良とされている。今回我々は比較的順調な経過をたどる2症例を経験したので、文献的考察も含めて報告する。
索引用語 Trousseau症候群, 消化器癌