セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 36:

錠剤型乾燥剤の誤飲によって閉塞性イレウスを来たした成人女性の一例

演者 大浦 杏子(KKR高松病院 消化器内科)
共同演者 小林 三善(KKR高松病院 消化器内科), 森田 翼(KKR高松病院 消化器内科), 安田 貢(KKR高松病院 健康医学センター), 前田 剛(KKR高松病院 内科), 厚井 文一(KKR高松病院 内科)
抄録 【症例】66歳女性。
【現病歴】気管支喘息で当院通院中。2日前より、腹部膨満感あり。当日夕方に下腹部に鈍痛が持続、10回以上嘔吐するようになったため来院。精査加療目的で入院となった。
【経過】腹部CTでは骨盤内小腸に直径2cm,高さ1cm大の円柱状の高吸収な構造物があり、これより口側の小腸内腔の拡張・腸液貯留像を認めた。これまで開腹手術の既往歴もなく、なんらかの小腸異物によって閉塞性イレウスを来たしていると考え、詳細な問診を行い、サプリメント瓶に封入されていた錠剤型乾燥剤であると判明した。まずイレウス管を挿入して保存的加療を開始し、異物が滞留する場合には小腸内視鏡で摘除を考慮する方針とした。イレウス管減圧によって嘔吐などのイレウス症状は速やかに改善、イレウス管造影所見でも腸管の拡張が改善するとともに徐々に異物は肛側へ移動、腸管狭窄など腸管通過障害はなかった。第4病日には異物は下行結腸まで到達していることが確認されたため、大腸内視鏡で回収し得た。食事開始後もイレウスの再発なく経過し、第10病日で退院となった。
【考察】消化管異物は小児例が多く、高齢者や精神疾患を背景とする場合を除けば成人では稀であるが、認知機能低下のない患者においても、比較的小さな錠剤型乾燥剤であれば一次的な不注意で食品と一緒に誤飲する可能性があると分かった。食品などに封入される乾燥剤は一般的にシリカゲルを主成分とし、消化管での吸収はほとんどなく、通常の誤飲では中毒症状を呈さないため、自然排出を待つことができる。他の鈍的異物と同様、時にイレウスなどの合併症を引き起こす事があるため、イレウス管挿入や停滞する場合には異物摘除術が考慮される。今回錠剤型乾燥剤の誤飲によって閉塞性イレウスを来たした症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 乾燥剤, イレウス