セッション情報 一般演題

タイトル 06:

ヘリコバクターピロリの初感染によると思われる AGMLの1例

演者 寺西 浩司(医療法人社団豊南会 香川井下病院)
共同演者
抄録 成人になってのヘリコバクターピロリ感染はまれと言われている。明らかな感染経路としては、以前は消毒の不十分内視鏡を介しての感染が指摘されていたが、洗浄消毒がきちんとなされるようなった今日ではその報告もなくなっている。今回、ヘリコバクターピロリの初感染によると思われるAGMLの1例を経験したので報告する。症例は20才代後半の男性で主訴は心窩部痛である。既往歴は5才頃脱腸で手術、家族歴は特になし。嗜好はタバコが20才から1日20本、アルコールは週5回程度で1回焼酎1合程度。2013年1月下旬、突然心窩部痛、嘔吐を認め当院を受診した。現症では、腹部は平坦軟で圧痛もなかった。血液検査では白血球やCRPの上昇含め異常を認めなかった。来院翌々日に上部消化管内視鏡検査を行った。体下部から前庭部にかけて白濁した粘液の付着と白苔を伴った浅いびらん性病変、塩酸ヘマチンの付着を認めた。粘膜は浮腫のためと思われる腫脹もみられた。問診で鎮痛剤やステロイド剤の内服はしておらず、直前のアルコール過飲もなかった。特別思い当たるストレスもなかったとのことで、一つの可能性としてヘリコバクターピロリ感染によることを考え生検を実施した。胃前庭部、体上部から生検を2ヶ所ずつ実施、迅速ウレアーゼテストと組織を提出した。4か所すべてでヘリコバクターピロリ陽性の所見であった。同時に測定したヘリコバクターピロリIgG抗体は3U/mlであり陰性と判断した。大人になってからの感染は慢性化しにくいという報告もあるが、本人と相談して、1次除菌を行い、引き続き2週間のPPI投与をして治療終了とした。その後、症状の再発は認めなかった。その後、除菌できていることを確認して終了とした。まとめ;原因を特定出来なかったがヘリコバクターピロリの初感染によると思われるAGMLの1例を経験した。大人になってからの感染はまれと言われているが、AGMLの原因の1つに成り得ることを覚えておく必要があると思われた。
索引用語 H.P.初感染, AGML