セッション情報 シンポジウム1「消化器疾患と他臓器病変との関わり」

タイトル S1-07:

肝硬変患者における胃運動機能異常―胃電図による検討―

演者 小林 三善(KKR高松病院 消化器内科)
共同演者 杵川 文彦(さぬき市民病院 内科), 松田 和也(松田内科医院), 大浦 杏子(KKR高松病院 消化器内科), 森田 翼(KKR高松病院 消化器内科), 安田 貢(KKR高松病院 健康医学センター), 前田 剛(KKR高松病院 内科), 厚井 文一(KKR高松病院 内科), 藤原 新太郎(香川大学 消化器・神経内科), 西山 典子(香川大学 消化器・神経内科), 谷内田 達夫(香川大学 消化器・神経内科), 野村 貴子(香川大学 消化器・神経内科), 谷 丈二(香川大学 消化器・神経内科), 三好 久昭(香川大学 消化器・神経内科), 森下 朝洋(香川大学 消化器・神経内科), 小原 英幹(香川大学 消化器・神経内科), 森 宏仁(香川大学 消化器・神経内科), 米山  弘人(香川大学 消化器・神経内科), 樋本 尚志(香川大学 消化器・神経内科), 正木 勉(香川大学 消化器・神経内科)
抄録 【目的】肝硬変患者において肝癌の経皮的局所治療前後で胃電図(EGG)を記録し,胃運動機能の変化を定量的に評価した.【方法】対象は肝癌患者44例(69.7±8.0歳)男性27例,女性17例.Child-Pugh A/B=33/11) 肝癌の経皮的局所治療前と3日後にEGGを記録し,治療前後での成績を比較した.胃電計はニプロ社製EGを用いた.電極を定法にしたがって貼付してEGGを記録し,空腹期 30分と食後期30分におけるBradygastria(2.4cpm未満),Normogastria(2.4~3.6cpm),Tachygastria(3.6cpm以上)の出現頻度,パワーが最も大きい周波数の値(dominant frequency:DF),食事前後の電位の変化率 (power ratio:PR)について解析した.腹部症状についてはGSRS問診票を用いて定量的に評価した.【成績】肝障害の程度で比較すると空腹期30分でのNormogastriaの出現頻度はChild-Pugh A で84.0±3.8%, Child-Pugh Bで66.8%±8.6%と有意差をもってChild-Pugh Bの患者で低下していた.しかし,食後期には有意差の出るパラメータはなく,GSRSスコアでの有意差も認めなかった.次に肝癌の経皮的局所治療の影響を評価すると,空腹期30分の解析では, Normogastriaの出現頻度は,治療前81.6±3.5%,治療後75.2±4.5%,Tachygastriaの出現頻度は,治療前2.2±0.3%,治療後0.7±0.1%で, Normogastriaと Bradygastriaの出現頻度が有意に低下していた(p<0.05 ).DFとPRにおいては治療前後で有意な変化を認めなかった.しかし,GSRSスコアに有意な変化は認めなかった.食後期の検討ではいずれのパラメータにおいても有意な変化を認めなかった.【結論】肝硬変が進行すると胃運動機能低下を認め,肝癌の経皮的局所治療後においては症状の有無にかかわらず,胃運動機能障害を合併している可能性が示された.
索引用語 胃運動, 肝硬変