共同演者 |
小川 力(高松赤十字病院 消化器内科), 森岡 弓子(高松赤十字病院 消化器内科), 野田 晃世(高松赤十字病院 消化器内科), 宮本 由貴子(高松赤十字病院 消化器内科), 出田 雅子(高松赤十字病院 消化器内科), 石川 哲朗(高松赤十字病院 消化器内科), 松中 寿浩(高松赤十字病院 消化器内科), 玉置 敬之(高松赤十字病院 消化器内科), 柴峠 光成(高松赤十字病院 消化器内科), 石川 順英(高松赤十字病院 消化器外科), 廣瀬 哲朗(高松赤十字病院 消化器外科), 西平 友彦(高松赤十字病院 消化器外科), 嶋田 俊秀(高松赤十字病院 検査部), 荻野 哲朗(高松赤十字病院 病理科部), 工藤 正俊(近畿大学 医学部 消化器内科) |
抄録 |
【背景】これまで早期診断が困難とされてきたstage I肝細胞癌(HCC)および早期HCCの画像的診断が、EOB-MRI, ソナゾイド造影超音波検査(CEUS)の登場により可能となった。しかし発見および治療方針決定おいて重要と考えられる術前の腫瘍全体の範囲診断および肉眼分類、分化度診断、門脈浸潤などの評価はいまだ画像診断や肝生検では限界があるとされる。【目的】術前診断時において腫瘍径が2cm以下であった早期HCCを含むHCC症例のうち、外科切除標本により最終診断を得た症例の画像的特徴を検証する。【方法】2010年1月より2012年12月の間に当院の経験した腫瘍径2cm以下のHCCのうち、CTHA+CTAP, EOB-MRI, CEUSのいずれの検査をも行った症例を抽出した。そのうち外科切除標本を以て最終診断を得た症例は20症例22結節であった。この22結節における画像所見の特徴をそれぞれのmodalityについて検討した。【成績】平均年齢は66歳、性別は男性18症例、女性2症例であった。平均腫瘍径は15.6mm、肉眼分類は小結節境界不明瞭型:単純結節型:単純結節周囲増殖型:多結節癒合型が4:12:3:3、分化度は高分化:中分化:低分化が8:12:2であった。門脈浸潤を認めたのは20症例中6症例、静脈浸潤, 動脈浸潤, 胆管浸潤例は1例も認めなかった。術前の存在診断においては、22結節中CTHA+CTAP, EOB-MRI, CEUSで診断しえたのはそれぞれ22結節(感度100%), 21結節(95.5%), 19結節(86.3%)であった。評価しえた結節における分化度の診断(高分化 vs 中分化+低分化)においては、CTHA+CTAP, EOB-MRI, CEUSで診断しえたのはそれぞれ22結節中22結節(正診率100%), 21結節中20結節(95.2%), 19結節中19結節(100%)であった。また肉眼分類に関してはCEUSでのみ単純結節周囲増殖型と確定診断しえた症例も認められた。【結論】早期HCCの診断にEOB-MRIが有用であることは間違いないが、存在診断, 肉眼分類, 分化度診断のすべてにおいて秀でるわけではなく、腫瘍径2cm以下の小さなHCCにおいてはCTHA+CTAP, EOB-MRI, CEUSを組み合わせることで高い術前診断能が得られると考えられた。 |