セッション情報 一般演題(後期研修医)

タイトル 20:

癌性腹膜炎に特発性細菌性腹膜炎を併発したG-CSF産生肝癌の1剖検例

演者 岡崎 潤(徳島大学病院バイオヘルスサイエンス)
共同演者 友成 哲(徳島大学病院バイオヘルスサイエンス), 松本 友里(徳島大学病院バイオヘルスサイエンス), 田中 宏典(徳島大学病院バイオヘルスサイエンス), 谷口 達哉(徳島大学病院バイオヘルスサイエンス), 佐藤 桃子(徳島大学病院 腫瘍内科), 玉木 克佳(大久保病院), 宮本 弘志(徳島大学病院バイオヘルスサイエンス), 六車 直樹(徳島大学病院バイオヘルスサイエンス), 岡久 稔也(徳島大学病院バイオヘルスサイエンス), 高山 哲治(徳島大学病院バイオヘルスサイエンス)
抄録 患者は60歳台男性。2006年6月、アルコール性肝硬変を背景に肝癌を発症し、当科にてラジオ波焼灼療法(RFA)を施行。その後、RFAを繰り返し施行していたが、2012年5月より多発性肝癌となり、以後肝動脈塞栓術にて治療を行っていた。2013年4月、外来にて経過観察中に38℃台の発熱が出現し、CTでは多発肺転移を疑う腫瘤影を認め同年5月に精査のため入院となった。入院時血液検査では、軽度の白血球上昇と炎症反応の上昇あり、腹部CTで腹水貯留と脂肪識濃度の上昇を認めた。腹水細胞診ではclass2であり、腹水中に多核白血球(1566/mm3)を認め特発性細菌性腹膜炎(SBP)と診断し、同日より抗生剤による治療を開始した。治療開始後も発熱や、白血球数の増加、炎症反応の改善を認めず、抗癌剤治療を施行できなかったことから肝癌自体も増悪し、6月肝不全にて永眠された。家族の同意を得て、病理解剖を行ったところ、胸膜、腹膜に無数の播腫結節を認め肝癌では比較的稀な癌性腹膜炎の診断であった。肝癌の増悪に伴い、急激な白血球数の増加(25400-35600/mm3)を認めたため、血清G-CSFを測定したところ1750pg/mlと著明に上昇しており、免疫染色では肝癌細胞にG-CSFの発現を認めた。一般に、G-CSF産生腫瘍は原発部位に関わらず悪性度が高く、かつ予後不良な癌が多く、G-CSFにより増殖・活性化された好中球が腫瘍の増殖、浸潤・転移を促進することが報告されている。肝癌における癌性腹膜炎の合併は稀であるが、本症例では明らかな肝細胞癌破裂の所見を認めなかったことから、頻回のRFAがG-CSF産生腫瘍の腹膜播腫を誘発し癌性腹膜炎を来たし、bacterial translocationによりSBPを併発したと考えられる。また、腹腔内では細菌性腹膜炎と高濃度のG-CSFにより高サイトカイン血症をきたし、癌性腹膜炎が一層増悪した可能性がある。PubMedで検索した限り、癌性腹膜炎にSBPを併発したG-CSF産生肝癌の報告は無く、貴重な症例と考え報告する。
索引用語 G-CSF産生肝癌, 癌性腹膜炎