セッション情報 |
一般演題(初期研修医)
|
タイトル |
05:下痢症状から急性腎不全で発症した成人ヘノッホ・シェーンライン紫斑病の1例
|
演者 |
松井 崇矩(香川大学医学部附属病院 卒後臨床研修センターDELIMITERKKR高松病院 内科) |
共同演者 |
小林 三善(KKR高松病院 消化器内科), 大浦 杏子(KKR高松病院 消化器内科), 森田 翼(KKR高松病院 消化器内科), 安田 貢(KKR高松病院 健康医学センター), 前田 剛(KKR高松病院 内科), 厚井 文一(KKR高松病院 内科) |
抄録 |
症例は61歳、男性。既往歴は高尿酸血症・尿管結石。現病歴は入院1週間前より下痢症状を認めていたが、整腸剤内服にて経過観察していた。入院3日前より下痢症状のため食事・飲水をしないようにしていた。その後当院外来を受診され、血液検査にて著明な腎機能障害と炎症反応の上昇を認めたため、急性腸炎・急性腎不全にて入院となった。入院時の腹部CTでは小腸浮腫・二ボーを認めた。補液を行い脱水は補正されたが腎機能の改善を認めず、尿量は少量のままであった。原因検索のため再度詳細な問診を行ったところ、下痢症状と同時期に下腿に皮疹があったことが判明し、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病も鑑別診断とした。腹部精査のため行った上部消化管内視鏡検査では、十二指腸に著明な浮腫とびらん・発赤、潰瘍を認め、生検では細血管の拡張とIgA免疫染色にて形質細胞に陽性反応を認めた。また小腸カプセル内視鏡検査では浮腫・びらん・発赤を認めた。第9病日に下腿に紫斑、第10病日に両膝関節痛が出現したため、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病を強く疑い,腎生検・皮膚生検を施行しヘノッホ・シェーンライン紫斑病と確定診断した。第13因子の低下を認めたため、第13病日より第13因子を投与した。第23病日よりステロイドパスル療法を計3クール施行し、腎機能は改善するとともに紫斑・腹部症状も改善した。ステロイドパルス終了後に施行した上部消化管内視鏡検査では十二指腸の浮腫・びらん・発赤の著明な改善を認め、潰瘍は瘢痕化していた。現在はステロイド漸減中だが症状の増悪・再燃を認めていない。本症例は、診断に苦慮したが詳細な問診にて皮疹が先行していたことが確認され診断に至った。本症の消化管病変は約70%が小腸に発症するとされており、上部消化管内視鏡検査・小腸カプセル内視鏡検査の所見は診断する上で有意な所見であったと考える。今回我々は、下痢症状からの急性腎不全にて発症した成人ヘノッホ・シェーンライン紫斑病の1例を経験したので報告する。 |
索引用語 |
ヘノッホ・シェーンライン紫斑病, 十二指腸病変 |