セッション情報 一般演題(初期研修医)

タイトル 10:

胃壁内膿瘍の1例

演者 山本 加奈子(徳島赤十字病院 消化器科)
共同演者 桑山 泰治(徳島赤十字病院 消化器科), 宮本 佳彦(徳島赤十字病院 消化器科), 中井 陽(徳島赤十字病院 消化器科), 山本 英司(徳島赤十字病院 消化器科), 島田 直(徳島赤十字病院 消化器科), 野々木 理子(徳島赤十字病院 消化器科), 後藤田 康夫(徳島赤十字病院 消化器科), 佐藤 幸一(徳島赤十字病院 消化器科), 片岡 孝一(片岡内科消化器クリニック)
抄録 【症例】60代男性【既往歴】高血圧【現病歴】タール便にて前医で緊急上部消化管内視鏡(以下EGD)を施行され,胃体上部前後壁に潰瘍を認めた.翌日から2日間38度の発熱を認めたが自然に解熱した.第5病日のEGD再検にて後壁側の潰瘍周囲の粘膜浮腫と一部より膿汁の排出が確認されたため, Ceftriaxone 2g/dayを5日間投与された.1カ月目のCTにて胃壁内腫瘍も疑われ当科に紹介された.【経過】来院時血液検査にてHb 13.6g/dl,WBC 6300/μl,CRP 0.19mg/dlと貧血・炎症マーカー上昇を認めなかった.当科での初回EGD(第45病日)でも胃体上部後壁に巨大なSMT様隆起を認め,頂部から膿汁排出を認めた.生検培養では菌は検出できなかったが造影CT所見も含めて胃膿瘍と診断した.無症状で血液検査にも異常を認めず,膿汁排出による自然退縮を期待し保存的に経過観察を行った。第72病日に2回目のEGDで同様に膿汁排出が確認されたが,膿瘍の縮小傾向はなくEUS専用機を用いた胃膿瘍ドレナージ術を行う方針とした.第89病日にドレナージを試みるために内視鏡を挿入したところ膿瘍が著明に縮小しており,EUSにて膿瘍腔は8mmと小さいためドレナージは断念し,EUSガイド下に22G針で膿瘍の穿刺吸引を行い悪臭を伴う膿汁を回収し終了した。培養にてE.coli,Prevotella.spp,Lactobacillus.spp,S.aureusが検出された。その後の造影CTでも膿瘍腔の縮小を認め現在も経過観察中である.【考察】胃膿瘍・蜂窩織炎の成因として胃癌・胃潰瘍などの局所疾患,異物や内視鏡手技(生検・ESD・EUS-FNAでの感染報告あり)による粘膜損傷,他部位の感染巣からの血行性感染が挙げられるが,本症例では胃潰瘍からの感染の可能性が考えられた.治療方法としては抗生剤による保存的加療や胃切除術,ESD手技を用いた開創による胃内へのドレナージなどの報告があるが,本症例では既に胃内へ排膿されていたため無症状で経過し,緩徐ではあるが自然退縮したものと考えられた.胃潰瘍に併発する可能性のある病態として念頭に置くべき病態であると考えられ,文献的考察を加えて報告する.
索引用語 胃膿瘍, 胃潰瘍