共同演者 |
谷口 達哉(徳島大学病院 消化器内科), 田中 貴大(徳島大学病院 消化器内科), 友成 哲(徳島大学病院 消化器内科), 原田 利枝(徳島大学病院 消化器内科), 佐藤 桃子(徳島大学病院 消化器内科), 三宮 勝隆(徳島大学病院 消化器内科), 宮本 弘志(徳島大学病院 消化器内科), 六車 直樹(徳島大学病院 消化器内科), 岡久 稔也(徳島大学病院 消化器内科), 高山 哲治(徳島大学病院 消化器内科) |
抄録 |
悪性黒色腫は早期から転移をきたす悪性度の高い腫瘍である。転移の多くは多発し肺,皮膚,肝臓への転移の頻度が高く、特に肝転移した症例は予後不良である。悪性黒色腫の肝転移に対する肝動脈塞栓術の効果は知られているものの、十分なエビデンスがないのが現状である。今回、我々は悪性黒色腫の肝転移に対して肝動脈塞栓術を3例施行し、有効な成績が得られたので報告する。症例1は70歳,男性.7年1ヶ月前に右ブドウ膜原発悪性黒色腫の診断の下に、眼球摘出後、DAVとIFN-α局注の併用療法を5クール施行し、以後月1回のIFN-α局注を行っていた。手術5年後に多発肝転移を認め、肝動脈塞栓術を施行した。術後、転移巣は増大なく経過していたが、17か月後に肝内転移の増大認め、術後19ヶ月に永眠された。症例2は33歳,女性.8年前に左下腿の悪性黒色腫に対して腫瘍摘出術を施行。術後、DAVとIFN-αの併用療法を5クール施行し、その後は月1回のIFN-α局注を行っていた。術後4年2ヶ月に左肺に転移、多発肝転移を認めたため、全身化学療法として、DAC-TM療法を開始し、肝転移に対しては肝動脈塞栓術を施行した。肺転移巣は縮小し、肝臓の転移巣は消失したため、肺転移巣は切除術を施行した。その後、肝内に新規病変を認めたため、再び肝動脈塞栓術を施行し、肝転移出現後1年10ヶ月経過しているが、増大なく経過している。症例3は76歳,男性.2年前に直腸悪性黒色腫の診断の下に、腹腔鏡下直腸切除術施行。その後、近医でフォローされていたが、術後1年10か月に多発肝内転移を認めたため、CDDPを用いた肝動脈化学塞栓療法を施行し、一過性の肝機能障害を認めたもの速やかに改善し、現在、腫瘍の増大なく経過している。肝動脈塞栓術は、悪性黒色腫の肝転移に対して有効な治療法と思われ、症例の蓄積が必要である。 |