セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 073:

当院にて経験した門脈ガス血症6例の検討

演者 藤田 俊浩(国立病院機構指宿病院)
共同演者 濱元 ひとみ(国立病院機構指宿病院), 重信 秀峰(国立病院機構指宿病院), 吉留 大喜(国立病院機構指宿病院), 川畑 和代(国立病院機構指宿病院), 鹿島 克郎(国立病院機構指宿病院), 田中 康博(国立病院機構指宿病院), 小園 勉(国立病院機構指宿病院), 木原 研二(国立病院機構指宿病院), 吉留 伸郎(国立病院機構指宿病院), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 門脈ガス血症は、腹部超音波検査や腹部CTにて門脈内にガス像を認める病態である。従来、予後不良であり、緊急開腹術が救命に必須であるとされてきたが、近年、保存的加療にて経過観察可能であった症例の報告が散見される。当院では、H21年3月からH24年6月までの期間に、6例の門脈ガス血症を経験した。3例は発症時すでに全身状態不良であり、緊急開腹術に至らず死亡したが(A群)、残る3例は全身状態が比較的良好であり、保存的加療にて軽快した(B群)。
門脈ガス血症の成因として、腸管壊死型と非腸管壊死型が挙げられる。予後不良で、緊急開腹術の適応となるのは前者であり、その手術適応に白血球、CRPの値が参考になるとした報告がみられる。一方、保存的加療を試みる基準としては、腹痛が軽度で腹膜刺激症状がないこと、発熱が軽度であること、腹痛が速やかに改善すること、腸管の減圧が有効であること、などが提唱されている。当院で救命可能であったB群は、いずれも腹部症状が軽度であり、また速やかな症状消失がみられた。vital signにも大きな異常はなく、白血球 7500-11100/μl、CRP 0.04-0.14 mg/dlと比較的低値に留まっていたため、保存的加療を選択した結果、軽快が得られた。
門脈ガス血症の治療方針を決定する際には、腸管壊死の有無を正確に判断する必要がある。門脈ガス血症が存在する場合、消化管内視鏡検査は施行困難であるため、腸管壊死の有無は腹痛などの臨床症状、血液検査、CT所見等から総合的に判断しなければならない。当院で経験した門脈ガス血症の6例について、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 門脈ガス血症, 腸管壊死