セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研04:

シクロスポリン静注療法が著効した巨大結腸症を合併した潰瘍性大腸炎の一例

演者 辻 清和(長崎大学病院消化器内科)
共同演者 卜部 繁俊(長崎大学病院消化器内科), 塩田 純也(長崎大学病院消化器内科), 福田 浩子(長崎大学病院消化器内科), 庄司 寛之(長崎大学病院消化器内科), 橋口 慶一(長崎大学病院消化器内科), 松島 加代子(長崎大学病院消化器内科), 南 ひとみ(長崎大学病院消化器内科), 赤澤 祐子(長崎大学病院消化器内科), 塩澤 健(長崎大学病院消化器内科), 山口 直之(長崎大学病院消化器内科), 大仁田 賢(長崎大学病院消化器内科), 磯本 一(長崎大学病院消化器内科), 竹島 史直(長崎大学病院消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科)
抄録 潰瘍性大腸炎は再燃と寛解を繰り返し、重症例では大出血・穿孔・中毒性巨大結腸症をきたし、手術適応となりうる炎症性腸疾患である。今回我々は巨大結腸症を呈した潰瘍性大腸炎に対してシクロスポリン静注療法が著効した1例を経験したので若干の文献的考察を加え、報告する。症例は62歳男性。201X年10月下旬より腹痛・下血で発症し、前医で下部内視鏡検査を受け潰瘍性大腸炎と診断され5-ASA製剤・ステロイドにて加療開始されるも奏功せず、経過中に腹部CTで結腸拡張像を認め、手術適応も含めて当院へ紹介され、12月X日に当科へ転院した。中毒性巨大結腸症の診断基準は満たさず、転院時点での穿孔、腹膜炎の所見は認められなかったが、外科的治療も念頭においての治療方針の決定が望まれた。協議の上、即効性と効果を期待し、シクロスポリン静注療法を開始し、改善傾向がなければ手術に踏み切る方針で内科的治療を開始した。治療開始後、症状は次第に改善し、腹部腸管ガスによる結腸拡張像も軽減した。内視鏡所見上も、大腸全域に潰瘍の所見を認めるものの、多くは潰瘍底に上皮化が見られ、血管透見像の保たれた粘膜の介在も見られ、全体的に粘膜の浮腫・発赤も軽減し、症状・画像所見と同様に急性期からの改善過程と考えられた。結果的に、保存的治療で改善し手術を回避でき、第30病日退院となった。潰瘍性大腸炎の絶対的手術適応は、1重篤な腸管合併症(大量出血、穿孔、中毒性巨大結腸症)、2重症型、劇症型で内科的治療無効例、3大腸癌およびhigh grade dysplasia合併例が挙げられ、相対的適応として、1QOL低下をきたす内科的治療での難治例、内科的治療での副作用発現例、2壊疽性膿皮症、小児の成長障害など腸管外合併症例、3狭窄、瘻孔、low grade dysplasia合併例などが挙げられる。本症例では中毒性巨大結腸症の基準は満たさず、シクロスポリン静注療法により保存的に改善が得られ手術を回避できたが、緊急性が高い症例は密に外科と連携し、手術適応を慎重に考慮する必要性があると考えられる。
索引用語 潰瘍性大腸炎, シクロスポリン