セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研47:

3剤併用療法に伴う重症皮疹にステロイドを使用した後に大腿骨頭壊死をきたしたC型慢性肝炎の1例

演者 小田 桂子(国家公務員共済組合連合会浜の町病院肝胆膵内科)
共同演者 次郎丸 高志(国家公務員共済組合連合会浜の町病院肝胆膵内科), 上野 新子(国家公務員共済組合連合会浜の町病院肝胆膵内科), 具嶋 敏文(国家公務員共済組合連合会浜の町病院肝胆膵内科), 高橋 和弘(国家公務員共済組合連合会浜の町病院肝胆膵内科)
抄録 【症例】 60歳台 女性 飲酒歴なし。 
  1994年C型慢性肝炎と診断され、以後インターフェロン単独療法2回、リバビリン併用療法1回受けたが毎回再燃した。2012年1月ペグインターフェロン、リバビリン、テラプレビル3剤併用療法を開始した。HCV genotypeは1b, RNA量は6.6 logIU/ml、IL28B( rs8099917) TTであった。第1週目より体幹、四肢にgrade3の皮疹が出現したため、プレドニゾロン20mgの投与を開始した。皮疹改善傾向に認めたため、2週目より漸減し第6週で中止した。皮疹の経過は良好であったが、第11週に再び体幹、四肢にgrade3の皮疹が出現したため、プレドニゾロン20mgの投与を再開した。皮疹改善傾向に認めたため、12週目より漸減したが、掻痒感が強く第14週から20週まで、プレドニゾロン5mg維持投与行い中止した。貧血に伴う、テラプレビル、リバビリンの減量はあったものの、24週の治療を完遂した。治療終了24週後のHCV RNAは陰性であり、ウイルス学的著効と判定した。 
  治療終了3か月ごろより持続する右股関節痛出現、股関節X線検査で前方に圧潰を認めた。MRIで両側大腿骨頭は前方に骨頭壊死を認めた。以上の所見より大腿骨頭壊死stage3B type Aと診断し、人工骨頭挿入術を施行した。病理組織は阻血性骨壊死の像であった。術後の経過は良好である。 
 【考察】 特発性大腿骨頭壊死症とは、血流の低下により大腿骨頭の一部が壊死を起こす疾患で、リスク因子として、ステロイドの内服や飲酒等があげられる。本症例は飲酒歴を認めず、ステロイドが発症に強く関与している可能性が示唆された。テラプレビルによる重症皮疹にはステロイドが治療継続に有用とされているが、遅発性の合併症にも十分留意して使用する必要があると考えられた。
索引用語 C型慢性肝炎, 大腿骨頭壊死