セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研28:

コーラにて内視鏡的摘出術が容易になった柿胃石の1例

演者 中西 信博(国立病院機構熊本医療センター消化器内科)
共同演者 小林 起秋(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 山田 崇裕(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 園田 隆賀(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 齊藤 雄一(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 田島 知明(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 古閑 睦夫(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 尾上 公浩(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 村尾 哲哉(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 中田 成紀(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 杉 和洋(国立病院機構熊本医療センター消化器内科)
抄録 【症例】77歳女性【主訴】上腹部痛【現病歴】入院5、6日前から上腹部痛、背部痛を認め、以後軽快せず増悪傾向であったため当院受診された。【既往歴】甲状腺機能亢進症 急性虫垂炎【生活歴】柿を日常的に摂取する【現症】腹部:平坦・軟・圧痛なし 腹膜刺激症状なし 腸蠕動音:減弱・増強なし【腹部CT】胃内に石灰化所見は認めず。他有意所見なし。【上部消化管内視鏡】胃体部に径4cmの黄褐色の胃石を認める。胃角部小弯に1個、前庭部前壁に2個の小潰瘍あり。【経過】胃石を鉗子で触知し破砕を試みたが、結石が硬かったため機械的な破砕のためには胃石を軟化させる必要があると判断した。コーラによって胃石を溶解させ、粉砕することで容易に除去しえたとの報告が散見されることから、同様の方法で除去する方針とした。コーラを内視鏡の鉗子口より注入し、胃石を完全にコーラで満たし、報告例と同様にこれを5分間3回繰り返した。処置後胃石は軟化し、鉗子で触知すると容易に崩れるようになった。その後、15mm径の金属スネアにて胃石の破砕を繰り返して縮小させ、三脚と回収ネットを併用して胃石を除去した。径5mm以下の小さな破片は蠕動による排泄を期待することとし処置を終了した。第3病日に胃石の遺残及び潰瘍の治癒状態確認のため上部消化管内視鏡再検したところ、胃内に残渣物は認めず、胃石の完全除去を確認した。また、取り出した胃石をシャーレに入れた上でコーラに浸して一晩置き翌日観察したところ、胃石は消失していた。【考察】胃石に対する溶解療法としては、元来アルカリ薬や重曹が用いられてきたが満足する効果は得られず、内視鏡的摘出術に難渋するケースも時折みられる。本症例でも胃石に対してコーラを散布することで胃石が脆弱化し処置自体も容易になること、コーラにより胃石が溶解することも確認出来た。【結語】今後、報告例通り胃石除去にはコーラによる溶解療法と内視鏡的異物除去を組み合わせることで安全で短時間の処置が可能となると考えられた。若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胃石, コーラ