セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
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タイトル | 研46:C型急性肝炎を発症した若年女性の1例 |
演者 | 井 建一朗(国立病院機構熊本医療センター消化器内科) |
共同演者 | 小林 起秋(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 古閑 睦夫(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 田島 知明(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 尾上 公浩(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 村尾 哲哉(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 中田 成紀(国立病院機構熊本医療センター消化器内科), 杉 和洋(国立病院機構熊本医療センター消化器内科) |
抄録 | 【症例】26歳・女性。2012年1月頃より躁鬱病にて近医を外来受診中であった。発疹、掻痒感、倦怠感が現れたため、6月に血液検査を行ったところ、肝機能異常の所見があったため当院消化器内科受診となった。入院時、眼球結膜黄染あり。血液検査所見:AST 935 IU/L、ALT 1361 IU/L、LDH 482 IU/L、HBs抗原(-)、HCV抗体(±),腹部エコー:肝内部低エコー、脾腫あり。躁鬱病の既往があり、薬剤性肝障害を疑っていたが、HCV-RNA 4.88LogIU/mLにてC型急性肝炎の診断確定となった。肝障害が長期にわたる場合、インターフェロン治療も検討したが、躁鬱病の既往があったため、肝庇護療法のみを行ったところ、軽快傾向となり第8病日退院となった。その後外来にてHCV抗体の一過性の上昇はあったが、肝逸脱酵素の上昇は認めず、HCV-RNAは陰性化を維持できている。また、C型急性肝炎の病名告知を行った際に、罹患経路に関して4月下旬頃の経静脈的な薬物乱用が判明した。【考察】C型急性肝炎はA型急性肝炎、B型急性肝炎と比較し報告例は少なく、減少傾向と言われているが、無症状者を含めると未だ具体的な罹患者数は把握できていないのが現状である。現在C型急性肝炎の約7割が感染持続し慢性肝炎へ移行、20-40年後の肝硬変・肝癌発生の原因となると言われているが、今回は若年発症のC型急性肝炎を経験し、慢性化せず治癒という経過を辿った。また、当初薬剤性肝障害を疑っていたが、HCV(±)が偽陽性としての検査結果ではなく、HCV抗体陽性となる前の一過程の検査結果であったと考え、HCVRNA検査を追加することで確定診断に至った点は臨床的に非常に興味深い。最後に、本症例は経静脈的な薬物乱用による感染であり、C型急性肝炎罹患の原因として、若年での感染経路においては報告例が比較的多い。近年若年者の薬物乱用がマスコミ等でも取り上げられて社会問題となって久しいが、薬物乱用によるHCV感染の増加が懸念される。自験例をあわせ、文献的考察をふまえて報告する。 |
索引用語 | C型急性肝炎, 薬物乱用 |