セッション情報 シンポジウム2「炎症性腸疾患診療の現状」

タイトル S2-05:

経口ステロイド薬の間欠投与併用でInfliximabによる寛解維持が可能となった潰瘍性大腸炎の1例

演者 清水 聡孝(独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科)
共同演者 松井 謙明(独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 牟田 和正(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学), 坂井 慈実(独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 高松 悠(独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 桑野 哲史(独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 澤村 紀子(独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 多田 靖哉(独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 大越 惠一郎(独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 田中 宗浩(独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 中村 和彦(九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学)
抄録 【症例】16歳女性【主訴】粘血便・下腹部痛【現病歴】201x年2月水様性下痢、下腹部痛、粘血便及び発熱があり当院紹介受診.全大腸炎型の潰瘍性大腸炎と診断された.Mesalazine内服開始3週間後、心窩部痛、膵酵素の上昇とCT上膵周囲の脂肪織混濁を認め、急性膵炎と診断されたためMesalazineを中止した。salazosulfapyridineに変更したが、投与開始10日後に急性膵炎を発症したため中止。経口ステロイド薬による治療を行い、漸減中にazathioprine併用を開始したところ、2週間後に急性膵炎を再度発症し中止した.経口ステロイド薬減量に伴って潰瘍性大腸炎が再燃するため同年7月にInfliximabの点滴静注を開始.8週間隔の維持投与となった頃より、投与後6週間で再燃症状を来たすようになったため経口ステロイド薬を併用していた。比較的若年であり、今後長期にステロイド持続投与が必要になる可能性が高いと考えられ、副腎抑制を防ぐ対策を検討した.症状はInfliximab投与5週目までは治まっており、6週目から増悪するため、経口ステロイド薬をInfliximab投与後6,7,8週間後に15mg,10mg,5mg投与を行なったところ、それ以降再燃なく寛解を維持することが可能となった.【考察】潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis)において中等症以上の症例では,ステロイド治療が必要となることが多いが,ステロイドの継続投与により副腎抑制が起こると言われており、漫全とした長期投与は副作用や合併症につながることがある.Infliximabの反復投与が承認されて以来、寛解導入及び寛解維持に有用であることが認められているが、保険で承認された8週間の投与間隔期間内に増悪する症例があり、治療に難渋することがある。今回我々は,Infliximab単独投与では寛解維持が困難であったが,短期間ステロイドを併用することで寛解維持が可能になった症例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 潰瘍性大腸炎, ステロイド間欠投与