セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専63:

非典型的な画像所見を呈した膵漿液性嚢胞腺腫の一例

演者 佐上 亮太(大分赤十字病院 消化器内科)
共同演者 永松 秀康(大分赤十字病院 消化器内科), 都甲 和美(大分赤十字病院 消化器内科), 柳井 優香(大分赤十字病院 消化器内科), 占部 正喜(大分赤十字病院 消化器内科), 高橋 健(大分赤十字病院 消化器内科), 上尾 哲也(大分赤十字病院 消化器内科), 成田 竜一(大分赤十字病院 消化器内科), 石田 哲也(大分赤十字病院 消化器内科), 福澤 謙吾(大分赤十字病院 外科), 若杉 健三(大分赤十字病院 病理診断科), 米増 博俊(大分赤十字病院 病理診断科)
抄録 【症例】67歳 男性 【主訴】膵腫瘤精査 【既往歴】2型糖尿病 高血圧【現病歴】2011年9月に持続する微熱を主訴に近医を受診し,造影CTで膵頭部に嚢胞性病変を指摘された.EUSでは内部に一部充実成分を伴う病変であり,膵内分泌腫瘍等が疑われ,2012年3月に当院消化器内科に精査加療目的にて紹介となった.【治療経過】血液検査上,腫瘍マーカーやホルモンなどに異常所見を認めなかった.造影CTでは、腫瘍下端部分に石灰化を伴う,最大径39mmの単房性の類円形腫瘍として認識された.内部のCT値が腹側で14HU,背側で28HUと異なり,内部不均一な性状が示唆された.また腫瘍壁の一部は不整で厚く,遅延性濃染を示した.またMRI T1強調像で膵実質より高信号,T2強調及び脂肪抑制T2強調像で著明な高信号を示した.腫瘍背側の一部では,T2強調像でやや低信号,GD-DTPAによる造影T1強調像で軽度の造影効果を示す部分があり,充実成分が示唆された.EUSでも腫瘍内部は多彩な構造を示す低エコー腫瘤として描出された.FDG-PETでは腫瘍内に有意な集積像は認めず,ERPでは主膵管との交通及び膵管狭窄は認めなかった.以上の所見より、出血壊死を伴った膵内分泌腫瘍やSolid pseudopapillary neoplasm等を考え,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理肉眼所見では,膵鉤部の嚢胞性病変内部には出血を伴う変性物質の貯留が見られた.さらに病理組織所見では内部に出血やコレステリン結晶を伴い,比較的明瞭な立方上皮に裏打ちされた大小の嚢胞集簇が確認された.以上よりMacrocystic typeの漿液性嚢胞腺腫(以下SCN)と診断された.【考察及び結語】内部に出血を伴うSCNは希少な症例と思われ,画像と病理所見を対比しながら多少の文献的考察を加え,報告することとした.
索引用語 膵漿液性嚢胞腺腫, Macrocystic type