セッション情報 | シンポジウム1「代謝性肝疾患の現状と問題点」 |
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タイトル | S1-06:肝硬変患者における潜在性肝性脳症と脂質代謝との関連:データマイニング解析 |
演者 | 川口 巧(久留米大学・消化器内科DELIMITER久留米大学・消化器疾患情報講座) |
共同演者 | 谷口 英太郎(久留米大学・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学・消化器内科DELIMITER久留米大学・消化器疾患情報講座) |
抄録 | 【目的】潜在性肝性脳症(MHE)は肝硬変患者の約30%に認められ、転倒・転落や交通事故と関連する慢性肝疾患患者の重要な合併症である。MHEの発症には、様々な代謝異常が関与すると考えられているが、未だその特徴は不明である。本研究の目的は、MHEに関連する代謝因子とそのプロファイルにつきデータマイニングを含めて検討することである。 【方法】顕性肝性脳症の既往を有しないウイルス性肝硬変患者で、Neuro-Psychological tests (NP test)を施行した27名を対象とした(男性15名、女性12名、平均年齢61.2歳)。NP testのうちナンバーコネクションテスト、デジットシンボルテスト、ブロックデザインテストを施行し、2つ以上のテストで異常値を示した患者をMHEと判断した(MHE群14名、non-MHE群13名)。MHEと肝予備能や肝代謝能との関連についてデータマイニングを含めた多変量解析にて検討した。 【成績】単変量解析:MHE群とnon-MHE群の間に年齢、性別、アルブミン値、総コレステロール値、中性脂肪値、遊離脂肪酸(FFA)値、総ビリルビン値、HOMA-IR値、アンモニア値、亜鉛値、BCAA/Tyrに有意差を認めなかった。ロジスティクス回帰解析:MHEと関連する独立危険因子として総ビリルビン、TG(OR 0.89, 95%CI 0.75-0.96, P<0.05)、FFA(OR 1.015, 95%CI 1.004-1.037, P<0.05)が同定された。プロファイル解析(決定木解析):MHEに関連する第1分岐因子は、FFA514 mEq/L以上であり、77.8%の患者がMHEであった。一方、FFA514 mEq/L未満の患者では、TG106 mg/dL未満が第二分岐因子であり62.5%の患者がMHEであった。 【結論】本研究によりMHEは、アンモニアやアミノ酸代謝ではなく、脂質代謝と関連することが明らかとなった。また、決定木解析から、MHEと関連する脂質プロファイルが明らかとなった。顕性肝性脳症の既往を有しない肝硬変患者では、脂質代謝異常がMHEに関与する可能性が示唆された。 |
索引用語 | 潜在性肝性脳症, 脂肪酸代謝 |