セッション情報 | シンポジウム4「自己免疫性肝胆膵疾患診療の問題点」 |
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タイトル | S4-03:原発性胆汁性肝硬変の長期肝関連予後は初期治療反応により予測可能か? |
演者 | 小森 敦正(国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センターDELIMITER国立病院機構長崎医療センター 肝臓内科) |
共同演者 | 宮副 由梨(国立病院機構長崎医療センター 肝臓内科), 佐々木 龍(国立病院機構長崎医療センター 肝臓内科), 戸次 鎮宗(国立病院機構長崎医療センター 肝臓内科), 橋元 悟(国立病院機構長崎医療センター 肝臓内科), 佐伯 哲(国立病院機構長崎医療センター 肝臓内科), 長岡 進矢(国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センターDELIMITER国立病院機構長崎医療センター 肝臓内科), 阿比留 正剛(国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センターDELIMITER国立病院機構長崎医療センター 肝臓内科), 山崎 一美(国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センターDELIMITER国立病院機構長崎医療センター 肝臓内科), 伊東 正博(国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター), 中村 稔(国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター), 八橋 弘(国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センターDELIMITER国立病院機構長崎医療センター 肝臓内科) |
抄録 | 【背景】Ursodeoxcholic acid (UDCA)が導入されて以来、原発性胆汁性肝硬変 (PBC) 患者の生命予後は改善し長期観察例も増加している。しかしながら治療開始後の初期治療反応による、長期肝関連予後の予測について報告は少ない。 【目的】治療開始後10年以上の経過観察が可能であったPBC患者の、初期治療反応および臨床経過と、発癌を含めた長期肝関連予後との関連を明らかにする。 【方法】対象は1992年1月から2013年2月までに入院歴のあるPBC患者162例のうち、肝生検を含めた診断後にUDCA、bezafibrateないしprednisolone の投与が開始され、その後10年以上の経過観察が可能であった35例。初期治療反応(開始後1年)、血液生化学検査値の推移、肝関連合併症(門脈圧亢進症、黄疸、肝細胞癌HCC)の出現と進展経過を後ろ向きに検討した。PBC-AIH overlap 症候群の診断は、厚生労働省難治性の肝胆道疾患に関する調査研究班診療ガイドライン(2012)を用いた。AST/ALP;正常上限x1.5>およびT-Bil;正常化を治療反応あり(Treatment Response TR, Corpechot C et al, J Hepatol, 2011)、さらに AST/ALT/ALP/γ-GTP /T-Bilの正常化を生化学的寛解 (Biological Normalization BN)と定義した。 【結果】治療開始後10年以上の経過観察が可能であった35例中10例に肝関連合併症が出現した(28.6 %)。このうち3例に肝関連死(8.6%;生体肝移植1例。死亡時平均年齢 65.0歳)を、6例にはHCCの合併を認めた (17.1%、合併時平均年齢 79.2歳)。治療開始よりHCCの診断にいたる平均観察期間は13年であり、1例のみ5年以内であった。HCC 合併症例中5例は初期治療反応良好(TR+, 83.3 %)であった。PBC-AIH overlap 症候群は6例に認め、うち1例はBN+にもかかわらず治療開始後9年目でHCCの合併が確認された。 【考察、結論】PBCの初期治療反応により、長期肝関連予後、特に発癌の予測は困難であると示唆された。UDCAによる治療反応が良好であっても、緩徐進行の可能性も念頭に置いて長期経過観察が必要であると思われる。 |
索引用語 | 原発性胆汁性肝硬変, 長期観察 |