セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専28:

ステロイド内服治療が著効した好酸球性胃腸炎の一例

演者 川原 義成(大分県厚生連鶴見病院 消化器内科)
共同演者 永井 敬之(大分県厚生連鶴見病院 消化器内科), 安部 高志(大分県厚生連鶴見病院 消化器内科), 和氣 良仁(大分県厚生連鶴見病院 消化器内科), 梶本 展明(大分県厚生連鶴見病院 消化器内科), 首藤 充孝(大分県厚生連鶴見病院 消化器内科), 中嶋 宏(大分県厚生連鶴見病院 消化器内科), 大河原 均(大分県厚生連鶴見病院 消化器内科), 白井 慎平(済生会唐津病院 内科), 樋高 秀憲(済生会唐津病院 内科), 中野 良(済生会唐津病院 内科), 遠藤 広貴(済生会唐津病院 内科)
抄録 【はじめに】好酸球性胃腸炎は,好酸球が消化管壁へ浸潤することで消化管の機能障害を来す,比較的まれな疾患である.今回我々は,ステロイド内服治療が著効した好酸球性胃腸炎の一例を経験したので報告する.【症例】20歳男性.主訴は腹満感,水様性下痢.既往歴には特記事項なくアレルギー疾患もない.2012年9月上旬頃から腹満,1日2行程度の水様性下痢,食欲不振を自覚し,9月27日当科外来を受診.WBC 8420/μl(Eosino 29.7%)と好酸球増多を認め,IgE 392U/mlと高値であった.腹部造影CTにて著明な腹水貯留,十二指腸と小腸の広範な壁肥厚が認められた.上部消化管内視鏡検査では,十二指腸下行脚にごく軽度の浮腫状粘膜を認めるのみであったが,同部からの生検にて,粘膜固有層に好酸球優位の炎症性細胞浸潤が認められた.腹水穿刺では,細胞数4603/μl,好酸球 98.5%と好酸球増多を認め,好酸球性胃腸炎と診断した.10月17日よりPSL 40mg/日内服治療を開始し,以後漸減した.臨床症状は速やかに軽快し,11月7日腹部造影CTでは,小腸の壁肥厚は軽快傾向で,腹水はほぼ消失していた.現在PSL 10mg/日内服まで漸減しているが,臨床症状はなく,明らかな再発を認めることなく経過している.【考察】好酸球性胃腸炎に対してはステロイド治療が奏功する報告が多くみられるが,具体的な投与量や減量方法,中止の時期などについて一定の見解はまだない.また,50%の例で再発再燃を繰り返すという報告もあるなど,ステロイド減量が困難な例もある.本症例でも,ステロイド導入後の画像所見にて小腸の壁肥厚がまだ若干残存していたこともあり,慎重なステロイド減量を行い,現在まで明らかな再発は認めていない.若干の文献を踏まえ報告する.
索引用語 好酸球性胃腸炎, ステロイド