セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研48:

代償性肝硬変に生じ、食道静脈瘤が新たに出現したde novo B型肝炎の一例

演者 原 麻美(北九州市立医療センター内科)
共同演者 河野 聡(北九州市立医療センター内科), 小野原 伸也(北九州市立医療センター内科), 重松 宏尚(北九州市立医療センター内科), 三木 幸一郎(北九州市立医療センター内科), 丸山 俊博(北九州市立医療センター内科), 下田 慎治(九州大学病態修復内科)
抄録 症例は69歳女性。2011年6月発症のT細胞性悪性リンパ腫に対して2012年1月に自己末梢血造血幹細胞移植を行った。B細胞性ではなくrituximabは使用していない。B型肝炎は既往感染でHCV抗体は陰性であった。2012年6月のCTおよび超音波検査にて側副血行路を有する代償性肝硬変がみられた。上部消化管内視鏡検査にて食道静脈瘤の合併はなかった。2012年11月より肝障害を生じ、de novo B型肝炎と診断された。肝機能検査の最大値はT.Bil 2.2mg/dl, ALT 470、HBVDNAは最大7.5 logcopy/ml、PT活性値の最低値は58.0%であった。さらにCTおよび上部消化管内視鏡検査にて、短期間で食道静脈瘤の出現・増悪がみられた。同年12月25日よりEntecavir投与を開始した。HBVDNA量の減少に伴い肝障害は比較的速やかに改善した。肝障害の沈静化による門脈圧亢進の改善を期待し、食道静脈瘤は経過観察中である。近年、強力な免疫抑制によるB型肝炎の再活性化が注目されている。なかでも既往感染からの再活性化はde novo B型肝炎と言われ、重症化しやすいとされている。本症例は、de novo B型肝炎として、1.rituximab非使用症例であること、2.代償性肝硬変をべースに発症したこと、3.短期間に門脈圧亢進症に増悪をきたしたこと、などを特徴としており、貴重な症例であるため報告する。
索引用語 de novo B型肝炎, 悪性リンパ腫