セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専10:

検診を契機に発見された直腸原発MALTリンパ腫に対して、R-CHOP療法を行い寛解した1例

演者 赤嶺 摩依(北九州総合病院消化器内科)
共同演者 黒瀬 龍彦(北九州総合病院消化器内科), 木原 康之(北九州総合病院消化器内科), 大橋 和明(北九州総合病院総合外科), 本田 晋策(北九州総合病院総合外科), 村山 良太(北九州総合病院総合外科), 永田 直幹(北九州総合病院総合外科), 東 丈裕(産業医科大学病院化学療法センター・血液科), 山田 壮亮(産業医科大学医学部第2病理学講座)
抄録 【症例】60歳男性。検診で便潜血陽性を指摘され、近医下部消化管内視鏡検査にて直腸Rbに全周性に粘膜の塑像・凹凸を伴う発赤調病変を認めた。生検結果からMALTリンパ腫が疑われ、当院に紹介となった。当院にて血液検査・造影CTを行い、ヘリコバクターピロリIgG抗体陰性、sIL-2R基準範囲内であり、また他臓器には異常所見は認めなかった。PET-CTでは同部位にSUVmax10.3と高集積を認めており、治療方針決定のために確定診断を行う必要があると考えられた。当院外科にてincisional biopsyを施行、直腸粘膜にlymphoepitherial lesionおよび形質細胞への分化を認め、免疫染色ではCD20陽性であったため直腸MALTリンパ腫の診断とした。治療方針は直腸の温存や副作用などを考慮し、化学療法を選択した。PET-CTでの集積が高く、また骨髄生検にて一部Large cellの浸潤を疑う所見があり、Ann Arbor分類StageIVの可能性も否定できなかったため、6コースのR-CHOP療法を施行した。その後PET-CTおよび下部消化管内視鏡検査で寛解と判断、以後半年間再発なく現在は経過観察を行っている。【考察】大腸悪性リンパ腫は大腸原発腫瘍の中で0.2%と非常に稀な疾患であり、そのうち42-65%がMALTリンパ腫と報告されている。組織型によって予後は異なるため、より正確な組織診断が要求される。治療方針としてはH.pylori除菌や化学療法、放射線療法、外科的治療が選択されているが、症例数が少なく治療法の確立は今後のさらなる検討が必要である。今回incisional biopsyにて直腸原発MALTリンパ腫と診断し、化学療法にて寛解に至った症例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 MALTリンパ腫, 直腸