セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 083:

HCV関連肝細胞癌の治療経過中に出現し肝腫瘍生検後に壊死した肝内胆管癌の1例

演者 重松 宏尚(北九州市立医療センター)
共同演者 小野原 伸也(北九州市立医療センター), 河野 聡(北九州市立医療センター), 三木 幸一郎(北九州市立医療センター), 丸山 俊博(北九州市立医療センター), 下田 慎治(九州大学病態修復内科)
抄録 【はじめに】肝細胞癌(HCC)と肝内胆管癌(ICC)の重複癌は比較的稀である。今回我々はHCV関連肝細胞癌の治療経過中に出現した乏血性腫瘤を肝腫瘍生検でICCと確定診断後に腹腔鏡下肝切除を行い、切除標本で完全壊死を確認した1例を経験したので報告する。【症例】72歳 男性【主訴】肝内腫瘤の精査【生活歴】10年前に禁酒、禁煙【既往歴】20歳時 肺結核【現病歴】2004年6月より慢性C型肝炎、高血圧、パーキンソン病の診断で近医通院加療。2010年6月のUSで肝右葉に径35mmの肝内腫瘤の指摘をうけ当科紹介。MRIでS5径35mmを主結節とする多発腫瘤を認め、AFP L3分画、DCPの上昇も認めたためHCCと診断。7月16日に多発HCCに対してTACE施行。9月7日にS5の主結節に対してRFAを追加。2011年1月13日にS8径15mm、S7径10mmの再発HCCに対してTACE施行。2月13日の効果判定のCTで、リピオドールの沈着した治療後結節の他に、肝S6下端に径16mmの乏血性腫瘤を指摘。3月5日のMRIでS6の乏血性腫瘤は径33mmへと増大。肝腫瘍生検目的に3月24日入院。【入院時検査所見】血小板数は22.1x104/μl。PT86%、アルブミン値3.8g/dl、T.Bil 0.6mg/dl。AST56IU/ml、ALT43IU/mlと軽度上昇。AFP1541mg/ml、L3分画57.8%と上昇。DCP、CA19-9、CEAは正常域。【臨床経過】3月26日エコーガイド下肝生検施行。病理組織学的には腺癌の所見で、免疫染色はCK7(+)、CK8+18(+)、CK20(+)、hepatocyte(-)でありICCと診断した。肝予備能良好であり、腫瘤がS6下端に存在していたため、5月9日に腹腔鏡下肝部分切除術(S6)を施行。摘出標本では表面は黄白色で硬く、腫瘍径は2.5cmであった。病理学的組織学的所見では、腫瘍は完全壊死の状態であった。術後経過は良好であり、術後10病日で退院となった。以後HCC、ICC共に再発は認めず当科外来で経過観察中。【結語】本症例はHCCとICCの重複例、肝腫瘍生検でICCと診断後に自然壊死を生じたという2点において稀な症例と考え報告する。
索引用語 肝内胆管癌, 肝細胞癌