セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専69:内視鏡的膵管ドレナージが著効した膵性胸水の一例 |
演者 | 寺松 克人(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター) |
共同演者 | 藤森 尚(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 河邉 顕(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 黒川 美穂(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 中村 吏(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 国府島 庸之(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 吉本 剛志(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 福嶋 伸良(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 山口 恵梨子(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 岩田 真悠子(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 柿ヶ尾 佳奈(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 岡本 梨沙(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 原口 和大(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 隅田 頼信(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 福泉 公仁隆(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 原田 直彦(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 中牟田 誠(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科 臨床研究センター), 伊藤 鉄英(九州大学大学院医学研究院病態制御内科) |
抄録 | 【はじめに】膵性胸水は稀な病態であるが、慢性膵炎や急性膵炎後の合併症として重要であり、適切なドレナージが必要とされる。今回我々は、膵仮性嚢胞が縦隔内へと連続し、胸腔内に穿破することで形成された大量の膵性胸水に対し、内視鏡的膵管ドレナージが著効した一例を経験したので報告する。【症例】40歳、男性。36歳時にアルコール性急性膵炎の既往がある。入院10日前に大量飲酒し、3日前に強度の腹痛を自覚するも自然に軽快していた。その後、突然の胸痛を主訴に近医を受診し、胸部単純写真で大量の右胸水貯留を認めたため、当院呼吸器外科に紹介入院となった。胸腔ドレーンを留置するも胸水の改善は認めなかった。CTにて膵尾部に嚢胞性病変を認め、胸水中のアミラーゼが4172 IU/lと著明高値であったため、膵性胸水を疑われ当科転科となった。MRIにて、右胸水が縦隔から大動脈裂孔・食道裂孔を経て腹腔内、さらには膵尾部の嚢胞へと連続している所見を認めた。急性膵炎に準じた治療を開始した。第11病日に施行したERPでは、膵尾部主膵管が破綻しており、嚢胞内への造影剤漏出を認めたため、主膵管破綻部を越えるように内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)を施行した。その後右胸水は減少し、膵仮性嚢胞も縮小した。経乳頭的ドレナージが有効と判断し、ENPDから膵管ステントに入れ替え退院とした。以後、1~2ヶ月毎に膵管ステントを交換し、4ヶ月後の画像検査にて右胸水、膵仮性嚢胞の消失を確認した。ERPでは、膵尾部主膵管からの造影剤漏出を認めず、膵管ステントの抜去が可能であった。その後は再発なく経過良好である。【考察】膵仮性嚢胞に対する内視鏡的ドレナージの有用性は多く報告されており、主膵管と交通がある症例では経乳頭的ドレナージが第一選択となることが多い。本症例は、大量に貯留した膵性胸水に対して内視鏡治療が有効であった大変興味深い症例であり、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 膵性胸水, 内視鏡的膵管ドレナージ |