セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 127:

肝内胆管癌との鑑別が困難であったIPNBの1例

演者 塩屋 公孝(済生会熊本病院 消化器病センター)
共同演者 宇土 翔(済生会熊本病院 消化器病センター), 門野 義弘(済生会熊本病院 消化器病センター), 上川 健太郎(済生会熊本病院 消化器病センター), 工藤 康一(済生会熊本病院 消化器病センター), 浦田 淳資(済生会熊本病院 消化器病センター), 近澤 秀人(済生会熊本病院 消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院 消化器病センター), 大内 繭子(同 外科), 杉山 眞一(同 外科), 高森 啓史(同 外科), 神尾 多喜浩(同 病理), 金光 敬一郎(国立病院機構熊本南病院)
抄録 症例は65歳女性。2006年9月、十二指腸乳頭部癌に対して他院で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PpPD)施行。術後経過観察されていたところ、2012年7月、MRCPで左肝内胆管拡張を指摘され当院紹介となった。腹部超音波検査では門脈臍部近傍の左肝内胆管内に約2cmの充実性腫瘤を認め、これより末梢の胆管は拡張していた。同腫瘤は、ドプラーエコーで比較的豊富な血流信号を認め、造影CTでは造影効果の乏しい軟部影として認識できた。PET-CT検査ではSUVmax=8.4(早期相)→SUVmax=9.0(後期相)の異常集積を認めた。PpPD後のため直接胆道造影検査は施行出来なかった。画像所見より胆管内発育型の肝内胆管癌と診断し、肝左葉切除術を施行した。切除標本の病理検査では、腫瘍細胞は乳頭状または腺管状に増殖しており、大部分は上皮内にとどまっているものの、わずかに間質へ浸潤していた。免疫組織学的所見(MUC5AC一部陽性、MUC6とCD10陽性、MUC2陰性、MUC1一部陽性)とHE所見より、pancreatobiliary typeのIPNB(Intraductal papillary neoplasm of the bile duct)の微小浸潤癌と診断された。KimらによりIPNBの疾患概念が報告されて以来、IPNBは膵IPMNに類似の腫瘍として認識されるようになってきた。近年の症例解析では、膵IPMNに比べて粘液過剰産生を示す症例が少ないために診断名からmucinousが省かれていることや、膵IPMNに比べて腺腫の頻度が圧倒的に低く、ほとんどが境界病変以上であることなどが知られてきている。今回、術前に肝内胆管癌との鑑別が困難であったIPNBを経験したので、その疾患概念の整理、考察も含めて報告する。
索引用語 IPNB, IPMN