セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専18:

成人腸重積症の原因となったS状ポリープを内視鏡切除し得た1例

演者 田代 茂樹(福岡東医療センター 消化器・肝臓内科)
共同演者 高松 悠(福岡東医療センター 消化器・肝臓内科), 清水 聡孝(福岡東医療センター 消化器・肝臓内科), 桑野 哲史(福岡東医療センター 消化器・肝臓内科), 松岡 順子(福岡東医療センター 消化器・肝臓内科), 澤村 紀子(福岡東医療センター 消化器・肝臓内科), 松井 謙明(福岡東医療センター 消化器・肝臓内科), 多田 靖哉(福岡東医療センター 消化器・肝臓内科), 大越 惠一郎(福岡東医療センター 消化器・肝臓内科), 田中 宗浩(福岡東医療センター 消化器・肝臓内科), 居石 克夫(東医療センター 病理科)
抄録 【緒言】成人腸重積症は全腸重積症の約5%と比較的稀である。乳幼児と異なり、成人では悪性腫瘍を始めとした器質的疾患が原因となる続発性腸重積症が90%を占める。今回、我々は成人腸重積症の原因となったS状結腸ポリープを用手的に整復した後、内視鏡で切除し得た1例を経験したので文献的考察も併せて報告する。【症例】22才、女性【主訴】下腹部痛、血便【既往歴・家族歴】特記事項なし【現病歴】1年前より1カ月に1~2回腹痛を自覚し、その後の便に血液が混じることがあった。2012年10月腹痛および便意があり怒責した際、肛門より異常腫瘤が脱出するのに気付いた。ティッシュで拭くと血液の付着があったため、当科を受診した。【来院時現症】血圧126/81mmHg、脈拍127/分・整、体温37.0度。腹部は平坦・軟、下腹部に圧痛あり。直腸診で背側に索状物を触知。【検査所見】特記事項無し【腹部CT】S状結腸部~直腸にかけ腸管内腔に腸管と脂肪、下腸間膜動脈の分枝が入り込んでおり、腸重積と考えられた。【下部消化管内視鏡】肛門から3cm大の暗赤色調・易出血性の腫瘤が脱出しているのが観察された。用手的に腫瘤を直腸内へ還納した後に内視鏡を挿入し観察したところ、うっ血調で多結節状の頭部と太く長い茎部を有する3cm大のIpポリープとして認識できた。【経過】肛門より脱出した大腸ポリープを用手的に返納後、腹痛は改善した。EMRの適応と考え、大腸ポリープを切除後、合併症なく退院となった。組織学的には腺腫内癌であった。以後、腸重積の再燃は認めていない。【考察】成人の腸重積症は小児と比べ稀な疾患であり、悪性腫瘍が原因となる場合が多い。文献を検索し得た限りでは、治療は多くが外科的切除を行なっており、内視鏡単独で治療が終了できたのは本例のみであった。症例により適切な治療がなされるべきであるが、本症例では内視鏡治療のみで治療が終了し、患者に与える侵襲を最小限にすることができた。
索引用語 腸重積, 大腸ポリープ