セッション情報 | シンポジウム2「炎症性腸疾患診療の現状」 |
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タイトル | S2-11:炎症性腸疾患患者におけるB型肝炎ウイルスマーカーの現状 |
演者 | 藤田 浩(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学) |
共同演者 | 沼田 政嗣(鹿児島大学病院 光学医療診療部), 井戸 章雄(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 宮田 生弥子(慈愛会 今村病院 消化器内科), 鮫島 洋一(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 小野 陽平(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 上村 修司(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 瀬戸山 仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 森内 昭博(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 船川 慶太(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 眞(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 大井 秀久(慈愛会 今村病院 消化器内科), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学) |
抄録 | 【目的】近年、免疫抑制・化学療法によるB型肝炎再活性化例が増加している。炎症性腸疾患(IBD)領域でもステロイド、免疫調節薬や生物学的製剤など免疫抑制効果を有する薬剤の使用頻度が高く、実際にインフリキシマブ増量後に再活性化を認めたクローン病症例が報告されている(Inflamm Bowel Dis 2007)。しかしながら、IBD患者におけるB型肝炎ウイルスの感染状況は不明である。今回IBD患者のB型肝炎ウイルスマーカーの現状と治療内容について検討した。【方法】当院及び今村病院で治療中のクローン病(CD)患者116名(男女比75:41、小腸型34/小腸大腸型77/大腸型5、年齢(平均±SD)40.3±13.3歳、罹病期間(平均±SD)15.6±9.5年)、潰瘍性大腸炎(UC)患者131名(男女比75:56、全大腸炎型86/左側大腸炎型34/直腸炎型11、年齢(平均±SD)48.2±17.1歳、罹病期間(平均±SD)11.6±8.5年)のB型肝炎ウイルスマーカーを測定した。【結果】CD群でHBs抗原陽性のHBVキャリアを1名(0.9%)、HBs抗原陰性かつHBc抗体あるいはHBs抗体陽性のいわゆるHBV既往感染者を6名(5.2%)認めた。またUC群でHBVキャリアを2名(1.5%)、既往感染者を17名(13.0%)認めた。両群のHBVキャリア及び既往感染者26名のうち17歳男性、UCのHBV既往感染者1名を除いた25名がHBVの母子感染予防対策が施行された1985年以前の出生者であった。HBVキャリア及び既往感染者のCD 7名のうち3名(42.9%)、UC19名のうち17名(89.5%)で免疫抑制療法を行っていたが、いずれもHBV再活性化は認めていなかった。UCのHBVキャリア1名は腸炎増悪時に核酸アナログを先行して投与開始した後にステロイドによる寛解導入療法を行った。核酸アナログ投与開始後、血中HBV-DNAは速やかに検出感度未満となり、肝機能異常は認めていない。【結語】IBD患者においても、HBVキャリア・既往感染者が一定割合存在しており、免疫抑制療法を実施する際にはHBV再活性化に留意する必要がある。 |
索引用語 | 炎症性腸疾患, HBV再活性化 |