共同演者 |
永松 秀康(大分赤十字病院 肝胆膵内科), 占部 正喜(大分赤十字病院 消化器内科), 高橋 健(大分赤十字病院 消化器内科), 上尾 哲也(大分赤十字病院 消化器内科), 石田 哲也(大分赤十字病院 消化器内科), 米増 博俊(大分赤十字病院 病理診断科), 立川 裕史(大分赤十字病院 リウマチ科), 高山 広美(大分赤十字病院 リウマチ科), 中山 朋子(大分赤十字病院 放射線科), 渡邊 征典(大分赤十字病院 放射線科), 高木 一(大分赤十字病院 放射線科) |
抄録 |
【はじめに】今回我々はFelty’s syndromeに胃静脈瘤を合併し、BRTOにて治療しえた胃静脈瘤の症例を経験したので、若干の文献的考察を含め報告する。【症例】60代、女性【主訴】胃静脈瘤【現病歴】生来健康で特に通院歴はなかった。また、健康診断を受けられることもなかった。2011年6月右膝の痛みを自覚し近医を受診された。この時の採血にてWBC 2,000/μl, RBC 269×104/μl, Hb 5.9 g/dl, MCV 77 fl, MCH 22 Pg, MCHC 28%, Plt 11.6×104/μlと汎血球減少を認め同院入院となった。上部消化管内視鏡検査にて胃静脈瘤を認め精査加療目的に当科紹介入院となった。【入院時検査成績】 WBC 4,000/μl (Neutro 66.7%, Eos 0.5%, Baso 0.2%, Lympho 19.7%, Mono 12.9%), RBC 348×104/μl, Hb 8.1 g/dl, Plt 14.7×104/μl. TP 8.1 g/dl, Alb 1.8 g/dl, T-Bil 0.8 mg/dl, AST 21 IU/l, ALT 8 IU/l, LDH 157 IU/l, ALP 374 IU/l, γ-GTP 14 IU/l, T-cho 76 mg/dl, TG 38 mg/dl, CRP 4.98 mg/dl, IgG 3,936 mg/dl, C3 89 mg/dl, C4 12.6 mg/dl, CH50 50.9, ANA 160倍, IC C1q 7.2μg/ml, RF-IgG 1.8 index, RF 62 IU/ml, anti SS-A antibody 148.6 Index, anti SS-B antibody 180.2 Index. Coagulation: PT% 76.1 %.Viral marker: 陰性. 【画像】造影CT・腹部超音波検査上は慢性肝障害パターン。肝静脈造影ではしだれ柳状所見は認めなかった【肝生検所見】第13病日に肝生検を施行した。肝硬変の所見は認めなかった。また、Felty’s syndromeに特徴的なnodular regenerative hyperplasia (NPH)の所見も認められなかった。【入院後経過】第23病日に胃静脈瘤に対しBRTOを施行した。【考察】Felty症候群では、門脈圧亢進症を呈することが知られている。本症では、特徴とされる結節性再生性過形成を認めなかったが、正常組織に合併した門脈圧亢進症の報告もあり、本症例の門脈圧亢進の成因に何らかの影響を与えた可能性も考えられた。 |