セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 024:

保存的治療にて軽快した特発性腸間膜血腫の一例

演者 田崎 貴子(大分市医師会立アルメイダ病院)
共同演者 小野 英樹(大分市医師会立アルメイダ病院), 阿南 重郎(大分市医師会立アルメイダ病院), 福田 健介(大分市医師会立アルメイダ病院), 有木 晋平(大分市医師会立アルメイダ病院)
抄録 症例) 64歳 男性主訴) 腹痛 腹満現病歴)1週間前からの腹痛と腹満を訴え近医受診.CT上腸管の血流障害を指摘され当院紹介.来院後嘔吐を繰り返した.発熱なし、血便なし、3日前から排便なし.腹部打撲の既往なし.腹部所見としては、心窩部から右季肋部にかけて圧痛を認めるが筋性防御をみとめず.検査)WBC11400×104μ/L CRP 3.59mg/dl腹部造影CT)十二指腸水平脚の右尾側を主体に径80×40mm大の軟部影を認めた.骨盤内に少量の腹水あり.腹部血管に明らかな動脈瘤を指摘できず.他特記所見なし.入院後経過)腸間膜血腫の疑いにて持続点滴下に絶食とした.嘔吐を繰り返し、翌日のCTでは血腫の大きさに変化を認めないが、WBC上昇を認め、EGD上十二指腸下行脚の粘膜は浮腫状で、壁外からの圧排により内腔は狭いがscopeの通過は可能であった.CT上血性腹水が疑われ、出血の機転が明らかでなく症状も増悪しており、今後も再出血を来すリスクを考慮し外科コンサルトしたが、緊急手術の必要性はなしとされた.NGチューブを留置し経過観察開始.1週間後CT上血腫の縮小傾向を認めたが、EGD上十二指腸下行脚から水平脚にかけて狭窄を認めscopeの通過不能であった.拡張術を施行し軽快.NGチューブからの排液減少し、血腫の縮小を確認し、食事再開後経過良好にて退院となった.まとめ)腸間膜血腫は、原因として外傷、急性膵炎、凝固異常及び腸間膜動脈瘤の合併症、などがあるが特発性も多い.まれな疾患とされ、これまでの報告では治療は手術を施行しているものが圧倒的に多い.本症例でも当初症状が増悪していたため手術を検討したが、数日後には画像上血腫の縮小傾向を認めたため、長期NGチューブ留置による保存的治療を続行し軽快に至っている. 最近の報告では、診断がつき全身状態が安定しており、活動性出血がなければ、保存的治療を優先すべきとするものも認めている.血管造影にて血管外漏出があれば、塞栓術のよい適応である.
索引用語 腸間膜血腫, 保存的治療