セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専67:

膀胱小細胞癌の転移と考えられた膵腫瘍の1例

演者 緒方 創造(熊本大学消化器内科)
共同演者 石井 将太郎(熊本大学消化器内科), 池邊 賢一(熊本大学消化器内科), 野田 香菜(熊本大学消化器内科), 堤 英治(熊本大学消化器内科), 階子 俊平(熊本大学消化器内科), 奥田 彩子(熊本大学消化器内科), 山田 裕希(熊本大学消化器内科), 鴻江 勇和(熊本大学消化器内科), 庄野 孝(熊本大学消化器内科), 直江 秀昭(熊本大学消化器内科), 桜井 宏一(熊本大学消化器内科), 田中 基彦(熊本大学消化器内科), 佐々木 裕(熊本大学消化器内科)
抄録 症例は82歳男性。2006年に他院にて前立腺癌に対し前立腺全摘術を受け、経過観察のため定期通院していたところ、血尿が出現した。精査の結果、膀胱腫瘍が疑われた。2011年12月に当院泌尿器科にてTUR-Btにて膀胱小細胞癌と診断された。その後、化学・放射線療法が追加施行された結果、PRの判定となり、以降は抗癌剤の内服治療を継続されていた。2012年11月より食欲不振がみられるようになり、12月の血液検査にて肝胆道系酵素の上昇を認め、当科外来を紹介受診された。血液検査では、CA19-9の上昇を認めていたが、閉塞性黄疸を呈していたため特異的な所見とは考えなかった。腹部USにて膵鉤部に辺縁明瞭な高エコーと低エコーが混在する腫瘤性病変を認めた。腫瘤は腹部造影CTでは造影効果に乏しく、MRIではT2WI、DWIで高信号を呈していた。CT、MRCPにおいて、圧排性に狭窄した下部胆管を認めた。2012年10月の腹部CTでは膵臓に腫瘤は認められず、腫瘤は急速に増大したものと考えた。原発性膵腫瘍と移性膵腫瘍の鑑別のため、膵腫瘤に対しEUS-FNAを行った。また、閉塞性黄疸に対し減黄のため胆管ステントを留置した。EUS-FNAでは、クロマチンの増加したN/C比の高い異型細胞の増殖が認められた。免疫染色の結果、Synaptophysin 陽性、ChromograninA陰性、CD56陽性であり、        膀胱小細胞癌と同じ染色パターンを示していた。膵原発の神経内分泌腫瘍の可能性も否定できなかったが、染色パターンと臨床経過から膀胱小細胞癌の膵転移と診断した。減黄後、当院泌尿器科にて化学療法を施行されている。膀胱小細胞癌は全膀胱悪性腫瘍の0.5%以下とされる稀な腫瘍である。転移部位としては、肝臓、骨、リンパ節が多いとされている。今回、我々は膀胱小細胞癌の膵転移と考えられた症例を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 転移性膵腫瘍, 膀胱小細胞癌