セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専55:持続血糖測定装置(CGMS)によりDPP-4阻害薬の有効性が確認された肝硬変合併2型糖尿病の一例 |
演者 | 小平 俊一(佐賀大学 内科) |
共同演者 | 井手 康史(佐賀大学 内科), 蒲池 紗央里(佐賀大学 内科), 中下 俊哉(佐賀大学 内科), 岩根 紳治(佐賀大学 内科), 河口 康典(佐賀大学 内科), 江口 有一郎(佐賀大学 内科), 尾崎 岩太(佐賀大学 内科), 水田 敏彦(佐賀大学 内科) |
抄録 | 【はじめに】肝硬変では空腹時低血糖,食後高血糖など著しい糖代謝異常が生じるが,それを改善させうる薬物治療は確立されていない.今回持続血糖測定装置(CGMS)によりDPP-4阻害薬が肝硬変の糖代謝異常の是正に有効であることが示唆された症例を報告する.【症例】 65歳男性.C型肝硬変,2型糖尿病,慢性腎不全にて通院.インスリン治療を行われていたが,早朝低血糖が出現したため自己中断.2012年8月血糖コントロール目的にて入院.【入院時所見】意識清明,腹水や黄疸なし.Hb 8.7 g/dl,PLT 9.7万 /μl,PT 79.2 %,ALB 2.3 g/dl, T-Bil 0.7 mg/dl,Cr 1.85 mg/dl,HbA1c (NGSP) 5.8 %.早朝空腹時血糖90 mg/dl前後であったが,昼食および夕食前血糖が150~250 mg/dlであったため、CGMSを施行.最低血糖(min)103 mg/dl(2時),最高血糖(max)321 mg/dl(19時),血糖変動係数(STD)46であったため,sitagliptin 25 mg/日を開始した.【経過】sitagliptin開始後1日目min 87 mg/dl,max 307 mg/dl,STD 43,2日目min 77 mg/dl,max 252 mg/dl,STD 39と次第に血糖変動の改善を認めた.一旦退院とし1ヶ月後再入院してCGMSを行ったところ,min 124 mg/dl,max 182 mg/dl,STD 16と異常血糖変動が著明に是正されていた.【考察】DPP-4阻害薬はインクレチンの分解を抑制することにより,血糖依存性のインスリン分泌促進,グルカゴン奇異性分泌抑制により,過剰な血糖低下を起こさず高血糖を是正する作用を有する.肝硬変に伴う糖尿病おいてはその作用機序からDPP-4阻害薬が有効であることが推測されたが,今回CGMSによりその効果が確認された.多くの血糖降下薬は肝硬変では使用禁忌であることからも,肝硬変患者の2型糖尿病に対してはDPP-4阻害薬が第一選択の候補となりうると考えられた. |
索引用語 | 肝硬変, 2型糖尿病 |