セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 166:

後腹膜への穿破を介して腹腔内破裂を来した膵仮性嚢胞の一症例

演者 安田 幹彦(中津市民病院 消化器内科 )
共同演者 橋本 理沙(中津市民病院 消化器内科 ), 田中 琢磨(中津市民病院 消化器内科 ), 安永 浩平(中津市民病院 消化器内科 ), 原田 林(中津市民病院 消化器内科 ), 多喜 研太郎(中津市民病院 消化器内科 ), 横田 昌樹(中津市民病院 消化器内科 ), 三島 泰彦(中津市民病院 外科), 上原 英雄(中津市民病院 外科), 岸原 文明(中津市民病院 外科), 伊藤 鉄英(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学)
抄録 膵仮性嚢胞は急性膵炎および慢性膵炎の経過中にみられる合併症の中でも頻度が高く、時に腹腔内破裂や周囲臓器(消化管や脾臓、肝臓)への穿通を来すことが知られている。今回、慢性膵炎急性増悪後の膵仮性嚢胞が後腹膜に穿破し、後腹膜を介して腹腔内破裂を来した一症例を経験したので報告する。症例は、61歳の男性。約40年間、アルコール多飲を繰り返していたが、特に症状なく経過していた。2012年○月頃より左季肋部痛を自覚し、症状の増悪を認めたため当院へ救急搬送された。腹部CTにて膵頭部に粗大石灰化と膵尾部に11cm大の嚢胞をはじめ多数の嚢胞性病変を認めたほか、脾臓への穿破も認めた。慢性石灰化膵炎、多発膵仮性嚢胞、脾穿破と診断し、加療目的に同日緊急入院となった。絶食・輸液・抗生剤を開始すると同時に、経乳頭的ドレナージ術を予定していたが、入院2日目に突然、腹部全体の強い痛みと腹膜刺激症状を認めた。緊急腹部CTにて膵仮性嚢胞の虚脱と腹水を認め、膵仮性嚢胞破裂と診断。同日緊急手術を施行した。膵尾部より脾周囲の剥離を行ったところ、脾下極部背側の後腹膜に膿瘍を形成し、後腹膜から嚢胞液の漏出が見られたことから、画像所見と併せ、後腹膜穿破からの腹腔内破裂と考えられた。膵仮性嚢胞の内瘻化を行うこととし、自動縫合器を用いて胃―膵仮性嚢胞吻合術を行った。術後経過は良好で、術後15日目に退院となった。本症例は、画像所見、術中所見から膵仮性嚢胞が後腹膜穿破を介して腹腔内破裂を来しており非常に稀な症例と考えられた。若干の文献学的考察を加えて報告する。
索引用語 膵仮性嚢胞, 破裂