セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専03:

胃低分化型腺癌と嚢胞状を呈した胃粘膜下異所腺を合併した1例

演者 伊東 陽一郎(唐津赤十字病院)
共同演者 嬉野 博志(唐津赤十字病院), 倉田 毅(唐津赤十字病院), 鶴岡 ななえ(唐津赤十字病院), 野田 隆博(唐津赤十字病院)
抄録 【症例】65歳男性。【主訴】黒色便、倦怠感。【既往歴】胃潰瘍、左気胸、心房細動。【現病歴】2012年4月頃より黒色便と倦怠感を自覚。同年5月中旬、近医にて上部消化管内視鏡検査を施行したところ、胃体上部~下部にかけて巨大腫瘤を指摘され、精査・加療目的に当院へ紹介となった。【身体所見】vital sign安定。眼瞼結膜貧血あり。その他特記所見なし。【上部消化管内視鏡検査】体上部小弯に粘液の多い立ち上がりが比較的なだらかな隆起性病変(以下A)を認め出血を伴っていた。そのやや幽門側に粘膜下腫瘍(以下B)を認めるが、Aとの連続性は不明であった。【CT検査】胃体部小弯から内腔に突出する造影良好な不整腫瘤(A)を認め、その肛門側で造影されない壁肥厚(B)を認めた。CT上はA直下にBがあるように見えた。胃小弯側・幽門上に腫大リンパ節を認め、転移が疑われた。【入院後経過】Aからの生検よりGroup5:porの結果が得られた。腫瘍からの出血による貧血を認めたため、当院外科にて腫瘍摘出の方針となり同年6月胃全摘術+D2リンパ節郭清施行(明らかな播種結節なし、洗浄細胞診:陰性)。摘出標本ではAは低分化型腺癌(poorly differentiatedadenocarcinoma,pT2,int,INFb,ly2,v2,pN3a,pPM0,pDM0)であった。Bは粘膜下に胃底腺組織が見られ嚢胞状に拡張しているが、明らかな悪性所見は指摘できず、AとBに連続性は認めなかった。【考察】胃粘膜下異所腺は本邦では切除胃の1.1%~4.0%に認められる疾患であり、粘膜面に胃癌が高頻度に合併することが報告されている。また、本症例のように粘膜下腫瘍として観察されるものは非常に稀である。今回我々は胃低分化型腺癌と嚢胞状を呈した胃粘膜下異所腺を合併した1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胃粘膜下異所腺, 胃低分化型腺癌