セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専54:BCG膀胱内注入療法により腹腔内に異所性BCG感染を発症し、肝結核を合併した1例 |
演者 | 脇 幸太郎(熊本大学医学部附属病院消化器内科) |
共同演者 | 泉 和寛(熊本大学医学部附属病院消化器内科), 川崎 剛(熊本大学医学部附属病院消化器内科), 溝部 典生(熊本大学医学部附属病院消化器内科), 吉丸 洋子(熊本大学医学部附属病院消化器内科), 福林 光太郎(熊本大学医学部附属病院消化器内科), 立山 雅邦(熊本大学医学部附属病院消化器内科), 渡邊 丈久(熊本大学医学部附属病院消化器内科), 田中 基彦(熊本大学医学部附属病院消化器内科), 佐々木 裕(熊本大学医学部附属病院消化器内科), 中村 圭輔(熊本大学医学部附属病院泌尿器科) |
抄録 | 症例は79歳の男性。膀胱癌(UC,G2>G3,T1+Tis)に対してH24年10月25日よりBCG膀胱内注入療法を計2回施行された。11月6日に2回目を注入し、その5日後より39℃台の発熱が連日持続するようになった。11月13日に予定されていた3回目の注入は延期となり、11月20日に発熱が遷延するため外来を受診した。末梢血WBC 4200/μL、生化学検査AST 75U/L、ALT 65U/L、LDH 268U/L、γ-GTP 261U/L、ALP 2036U/L、CRP 11.47mg/dlであり、熱源精査のため胸腹部造影CT検査を行ったところ、右腎門、右尿管周囲を主座とした、十二指腸水平脚や胆嚢周囲まで拡がる軟部影を認めた。11月21日にCTガイド下に軟部影を呈する組織を生検したところ、granulomatous lesionの診断であった。画像検査上は、肝実質内に明らかな異常を認めなかったが、肝結核の除外のため11月28日に肝生検を施行し、同様にgranulomatous lesionを認めた。11月30日よりINH、RFP、EBの3剤にて治療を開始した。 治療開始から2週間で解熱傾向となり、炎症反応、肝機能も軽快してきているため外来にて治療を継続している。尿、喀痰、血液、生検組織の培養結果では、入院時の尿培養と軟部組織の生検培養からM.tuberculosisが後日検出された。膀胱癌CIS及び高リスク筋層非浸潤癌に対する治療として、BCG膀胱内注入は標準治療の一つとして広く普及している。Lammらによる2602例のまとめでは、18例(0.7%)に肺炎もしくは肝炎を認めたと報告しており、合併症の頻度としては高くはないものの、画像検査にて肝実質に異常が指摘できなくても、肝結核の存在を疑い肝生検まで行い診断を行う必要があると考えられた。特に、抗結核薬INH、RFPによる治療開始後の肝障害の出現も想定されるため、治療開始前に肝生検を行い病態を把握しておくことが重要と考えられた。 BCG膀胱内注入療法により腹腔内に異所性BCG感染を発症し、肝結核を合併した1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 肝結核, 診断 |