セッション情報 一般演題(公募)

タイトル 108:

ビタミンB6欠乏性痙攣を基礎にもつ若年肝硬変肝癌の1例

演者 新垣 伸吾(琉球大学医学部附属病院 第一内科)
共同演者 富里 孔太(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 仲松 元二郎(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 島袋 耕平(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 宮里 公也(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 大平 哲也(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 與儀 竜治(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 柴田 大介(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 前城 達次(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 佐久川 廣(ハートライフ病院), 金城 福則(琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部), 藤田 次郎(琉球大学医学部附属病院 第一内科)
抄録 症例は17歳男性で、生後まもなくビタミンB6依存性痙攣と診断されその後重度の心身障害と精神遅滞を伴ったがビタミンB6の経口投与を継続しながら近医で経過をみられていた。兄も同じビタミンB6依存性痙攣があり加療されている。2011年1月に感冒様症状で近医受診の際に血球減少(WBC 2100/μl Plt 2.8万/μl)と肝障害(AST 54IU/L ALT 45IU/L)を指摘され当院小児科紹介受診、腹部CTにて肝硬変、2個の肝細胞癌(S2 1.8cm S8 2.5cm)、および著明な脾腫を認めた。2011年6月に肝部分切除術およびHassab手術が施行されたが、その後多発する再発肝癌を認め、非代償性肝硬変の状態となった。難治性腹水、肝性脳症、食道静脈瘤破裂などを併発し2012年7月に肝不全にて永眠された。本症例は若年肝硬変肝癌の症例だがHBs抗原陰性、HBc抗体陰性、HCV抗体陰性、セルロプラスミンも正常であり肝硬変の原因が特定できなかった。ビタミンB6依存性痙攣は常染色体劣性遺伝であり、本症例の兄も同疾患に罹患しており乳児期からビタミンB6とフェノバルビタールで加療中で、20歳時に肝生検で慢性肝炎の所見であり現在経過観察中である。ビタミンB6は肝臓でのメチオニン代謝において、ホモシステインをシステインに分解する際の補酵素である。高ホモシステイン血症が肝線維化に関与するという報告はみられる。本症例の肝硬変の成因を考えるうえで、ビタミンB6欠乏に起因する高ホモシステイン血症が関与していた可能性があり、文献的な考察も加えて報告する。
索引用語 ビタミンB6, 肝硬変